■需要広がれば低価格も期待

TESニューエナジーは産総研の技術をベースに、産業廃熱の利用に注力するベンチャーとして2010年に発足。ところが翌年に起こった東日本大震災で、電気の供給が止まる事態を前にして、自社技術を民生部門で活用することを思いついた。

3・11直後から開発を始め、約3か月で発売。同社は発電鍋を「世界初」と謳う。藤田和博社長は「熱電素子を鍋の底にただ貼ったのではない。鍋の温度の伝わり方の解析、熱電物質の配合成分などに自社のノウハウがある」と説明する。

「炊き出しグランプリ」での発電鍋ブース

現在、海外へ売れる発電鍋は欧米でのアウトドア需要が中心という。一方、「国内で買う人のほとんどは、震災で計画停電などを経験した個人。地震に備えたいという需要が続いている」と藤田社長は話す。

例えば、一斗缶などの廃物から手軽に作れる「ロケットストーブ」とこの発電鍋があれば、災害で電気やガスの供給が止まっても、最低限の電気や熱源は自前でまかなうことができる。3月9日に神奈川県相模原市で行われた「炊き出しグランプリ」で同社はブース出展し、発電鍋の「威力」を実演した。

現時点では14700円(5W)からという価格の高さが普及のネックだが、藤田社長は「技術的にはすでに完成しており、需要が広がれば価格を下げることは可能。災害時への備えとして官公庁などにも売り込みたい」と意欲を見せている。

発電鍋(TESニューエナジー)

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