豆を使わない代替コーヒー、世界でじわり広がる 遂に日本にも

記事のポイント


  1. 豆を使わない代替コーヒーが世界で広がりつつある
  2. 気候変動による農地の減少や、森林伐採、水消費などへの懸念が背景にある
  3. 米シアトル発の代替コーヒー「アトモ・コーヒー」が8月27日、日本に初進出した

豆を使わない代替コーヒーが世界で広がりつつある。背景には、気候変動によって、コーヒー栽培適地の減少や、森林伐採、大量の水消費といった環境負荷への懸念がある。米シアトル発のアトモ・コーヒーは、農作物をアップサイクルし、豆を使わない代替コーヒーを提供する。8月27日、日本に初進出した同社は、コーヒーチェーン店との連携も模索する。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

日本で展開するアトモ・コーヒー「Espresso Grounds」(店舗での提供のみ)
(右は、デカフェ)

■愛されるコーヒーは環境負荷も大きい

コーヒーの需要は世界的に伸び続けており、英国コーヒー協会によると、世界で毎日、20億杯のコーヒーが飲まれているという。

なかでも日本のコーヒー消費量は世界4位と高い。日本では1人当たり年間340杯ものコーヒーを消費している。

一方で、コーヒー豆の栽培には、森林伐採や大量の水消費が伴う。ブラジルなどのコーヒー農園では、劣悪な労働条件や児童労働などの人権問題の懸念もある。

持続可能なコーヒーをさらに難しくしているのが気候変動だ。気候変動や病害虫の繁殖で、コーヒー豆全体の生産量の約6割を占めるアラビカ種の栽培適地は、2050年までに半減するとの調査結果もある。

そのような中で、コーヒー豆を使わない代替コーヒーが、世界でじわり、広がっている。

■日本初進出のアトモ・コーヒーとは

8月27日、米シアトル発のアトモ・コーヒーが日本に初進出した。東京・渋谷区で、廃棄物ゼロ(ゼロ・ウェイスト)をコンセプトとしたカフェ&バー「æ(ash)」が、アトモ・コーヒーの提供を開始する。

アトモ・コーヒーは、もともとスイカの種やヒマワリの種・殻といった、農業廃棄物を原料に、アップサイクルした代替コーヒーづくりを始めた。その後、コーヒー豆の分子を分析・解析し、約4年かけて、コーヒー豆を再現できる成分を世界中で探し求めた。

現在は、デーツの種など、本来なら廃棄される材料を原料に、それらを粉砕し、そこにレモンやグアバなどの植物由来の成分を組み合わせて、代替コーヒーを製造する。緑茶から抽出したカフェインなどで、コーヒーの香りを再現する。

高度なバイオテクノロジーを活用する同社には、サントリーホールディングスも出資する。

「世界のコーヒーやコーヒー農家に取って変わることが私たちの目標ではない。私たちは、コーヒー愛好家とその需要増大のための解決策を提示するために存在する」と、同社ホームページは謳う。

同社は、コーヒー業界内でのパートナーシップにも前向きだ。2023年10月、同社のCEOは、「社会にインパクトを与えるためにも、この取り組みを大規模に展開したい。流通網と顧客基盤のある既存のコーヒーメーカーとの提携も必要だ」と大手コーヒー企業との提携への意欲を、フォーブス誌に語った。

■世界で増える代替コーヒーのスタートアップ

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #サステナビリティ

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