そのウォルマートは、100社もの参加企業を擁するサステナビリティ・コンソーシアムというグループに積極的に関与するほか、名だたるサステナビリティ関連のイニチアチブに名を連ねている。
インテルは紛争鉱物報告で牽引役を果たしているし、SAPは占有率の非常に高いERPをテコに、様々な指標報告のインフラ整備で影響力を発揮している。それぞれの企業が、それぞれのアジェンダに基づき、どのグループに所属し、どういった役割を果たすのか、を戦略的に考えているといえる。
自社、業界、業界を超えた連合、とスケールアップしていくと、行き着くのは経済システム全体である。成績優秀者として既存の経済システムの中で一番を取るというアプローチもあるが、優れたリーダーたちが新しい方向性を示し始めている今、経済システム全体がよりサステナブルな新しいパラダイムに向かっているとすればどうか。その新しいパラダイムづくりに積極的に関与し、牽引することで、次世代のインフルエンサーとしての立場を確立することができるのではないか。
経済界に多大な影響を持つマイケル・ポーター・ハーバード大教授が提唱する「CSV(共通価値の創造)」や、米国サステナビリティ界のスターともいえるビル・マクドノー氏が推進する「CtoC (ゆりかごからゆりかごまで)」、エレン・マッカーサー・ファウンデーションが唱える「サーキュラー・エコノミー」――。こうしたムーブメントに、大企業がこぞって参加していたり、世界規模のサステナビリティ関連のイニシアチブを牽引する、ユニリーバーのポール・ポールマンCEOが、影響力のあるリーダーとして厚い信頼を得ているのを見ても、新しいパラダイムづくりの中で、大きな役割を担っていくことの重要性を認識している企業は相当数いる。
今企業が声を大にしてアピールしたいのは、「どれだけ削減したか」という成績優秀者としての企業の姿ではなくて、「どれだけまわりに影響を与えたか」という、頼れる生徒会長、インフルエンサーとしての企業の姿なのかもしれない。