今回お会いしたユニリーバのゲイル・クリントワースCSO は南アフリカの事業会社出身の女性だ。事業面で実績を上げ、2007年から2010年までユニリーバ・南アフリカのCEO を務めた。グローバル本社では味・香部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントとしてクノールの事業を担当していた実力者だ。

ポール・ポールマンCEOが掲げる、2020年までに売上を倍増しつつバリューチェーンにおける環境負荷を1/2 にするという事業計画「サステナブル・リビング・プラン」を確実に実施するために、CSRの経験がなかったにもかかわらず抜てきされた。エース級の人材をサステナビリティの責任者に据える。このような人事からも同社が企業変革をいかに真剣に進めているかが垣間見られる。

通信大手のBTもかなり早い段階からサステナビリティに取り組んできたリーダー的な存在だが、次なるステージを目指して新CSOを社外から起用した。

広告代理店や戦略コンサルティング会社で活躍していたニール・ダン氏はCSOへの就任直後の5カ月間、どのような方向に会社を持っていくべきなのかという答えを求め、世界各地のサステナビリティ分野のリーダーたちと会い、耳を傾けた。

時代の流れとして、ビジネスそのものとしてCSRに取り組む重要性と、事業目的や存在理由なども一緒に融合していく必要性を強く感じたという。ダン氏が中心となって策定した同社の新たなサステナビリティ戦略は近々公表予定だ。

経営の中核として、あるいは経営そのものとしてサステナビリティに取り組む必要性を企業自らが強く感じ、動き始めているということが両社の事例からも分かる。さらに、NGO、政府機関など多様なステークホルダーは、企業による取り組みを適切に評価する仕組み作りを加速させている。

CSR部門は、組織のアンテナ機能として時代を先読みする感性を鍛えつつ、自社のマネジメント層にそのような時代の急速な変化を伝え、社内を動かしていく役割を担っている。

【もとき・ひろお】大学卒業後、1992 年から大手監査法人でIT 系、戦略系、環境に関するコンサルティングに従事。2001年4月からイースクエアのコンサルティング事業の責任者として、多岐の業種にわたる大手企業を中心に、戦略、コミュニケーション、教育、マーケティングなどの分野における支援を行う。2011年10月代表取締役社長に就任。2005年より東北大学大学院環境科学研究科特別講師を務める。CSR・環境関連の講演活動も多数行っている。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第3号(2012年12月5日発行)から転載しました)

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