「GXのGは『グリーン』ではない」、海外から批判が続々と

記事のポイント


  1. 日本政府はアジアの脱炭素化を図る「アジア・ゼロエミッション共同体」構想を掲げる
  2. だが、火力発電のアンモニア混焼やLNGなどを推進する方針に批判が集まる
  3. アジアの環境NGOは「GXのGは『グリーン』ではない」と批判した

日本政府は「アジア・ゼロエミッション共同体」構想を掲げ、アジア各国で、火力発電のアンモニア・水素混焼や、LNG(液化天然ガス)を推進する方針だ。これに対し、バングラデシュやインドネシアなどの環境NGOらは「化石燃料の延命措置に過ぎない。GXのGは『グリーン』ではない」として批判を強める。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「GX(グリーントランスフォーメーション)政策では、『グリーンエネルギー』ではなく、あえて『クリーンエネルギー』への転換をうたっている。日本政府は、この政策が『グリーン』ではないことを認識しているはずだ」

バングラデシュ環境弁護士協会(BELA)のバリエーシュ・チョードゥリー氏は、こう指摘した。

日本政府は、国内だけではなく、アジアでも、石炭火力発電のアンモニア混焼、ガス火力発電の水素混焼を推進する方針だ。水素やアンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、日本政府は「非化石エネルギー源」と位置付ける。しかし、水素・アンモニアのほとんどは化石燃料由来で、製造工程でCO2を排出する。

日本政府は2022年1月に「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を掲げ、アジア各国で、アンモニア・水素混焼、LNG、CCS(CO2の回収・貯留)の普及を進める。

政府は、AZEC 構想のもと、JICA(国際協力機構)などを通じて、バングラデシュやインドネシアに、ガスやCCS、アンモニアに依存した計画の策定支援を行う。

チョードゥリー氏は、「もし、アンモニア・水素の混焼やLNGがトランジション(転換)燃料であれば、そのトランジションは『いつ』起きるのか。単なる化石燃料の延命措置に過ぎない」と批判する。

8月下旬には、インドネシアで第2回AZEC閣僚会合が開かれた。首都ジャカルタにアジア・ゼロエミッションセンターを開設し、日本政府や日本企業がパートナー国の脱炭素化を支援することで合意した。

現地の環境NGOらは「AZECは、すでに巨額の富を得てきた企業をより肥やす一方で、インドネシアに『誤った気候変動対策』を蔓延させ、先住民族や地域コミュニティの人権をより侵害するものだ」と批判し、日本大使館前で抗議活動を行った。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素
  1. Kawa-wata
    Kawa-wata
    2024/09/03 2:34

    GreenではないならばGreedですかね。

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