
今年の「土用丑の日」に当たる7月29日を前に、スーパーや外食企業の仕入れ担当者が神経をとがらせている。国際自然保護連合(IUCN)が、ニホンウナギを絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」に加えたからだ。すぐに輸入・販売ができなくなるわけではないが、ウナギの種類によっては取り扱い自体をNGOや海外から批判されかねない。(オルタナ編集部=佐藤理来)
■世界の70%を日本が消費
日本は世界のウナギ消費量の7割を占めるとされる。専門家によると、その7割はスーパーやコンビニ弁当、外食チェーンなどの大手流通に乗る。つまり、世界のウナギ消費量の約半数を日本の大手流通が占める計算だ。
今回、ニホンウナギはレッドリストで「絶滅危惧IB類」に指定された。絶滅危惧種の3区分のうち危険度で上から2番目だ。3区分とは「絶滅危惧IA類」(CR=ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)、絶滅危惧ⅠB類(EN=近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)、絶滅危惧II類 (VU=絶滅の危険が増大している種)を指す。
ちなみにホッキョクグマは、3区分のうち絶滅危惧II類に指定されている。地球温暖化による動植物被害の象徴であるホッキョクグマよりも、ニホンウナギの方が絶滅の危惧度は高いと判定されたのだ。
今回の「レッドリスト入り」には法的拘束力はないものの、2016年に予定されているワシントン条約締結国会議で規制対象になれば、商業目的の国際取引や公海でのニホンウナギの水揚げが規制されたり、禁止になったりする可能性がある。
そもそも日本で流通しているウナギは、ニホンウナギ(日本・朝鮮半島など東アジアに分布)、ヨーロッパウナギ(主に欧州に分布)、アメリカウナギ(大西洋に分布)、ビカーラウナギ(東南アジアに分布)の4種類。いずれも資源の減少が指摘されている。