企業文化の変革は、サプライヤーも巻き込んで

さらに、①ジェンダーや年齢にかかわらず、特に若者が活躍できるような多様性の推進、②サプライヤーにおける多様性とインクルージョンの推進、③より包摂的で多様性のあるビジネスに変化させるためのイノベーションを実現する方法などを中心に、好事例が報告されました。日本からも資生堂での女性の管理職登用促進の取り組みについて岩田氏が報告して好印象を残しました。

さらに、WEPsを用いた企業、国連諸機関、政府の協力体制を構築した各国での取り組みについて、日本、セルビア、ブラジル、スイスの活動が紹介されました。

なお、主催者のミチェル・バチェレUN Women事務局長が、女性のエンパワメントだけではなく民主主義や健全で生産的な社会を実現するためにも企業が多様性とインクルージョンを推進することが重要であると述べ、ゲオルグ・ケルUNGC所長は、WEPs に取り組むことによって、企業は、社内だけではなくバリューチェーンを通じた変化をもたらすリーダーシップと革新的なプログラムが可能になると指摘しました。

潘基文国連事務総長は、WEPsを通じて国連と企業がパートナーとなっていること、500人以上のCEOがWEPsを支持する活動を通じて女性のエンパワメントは正しいということだけではなく、経済的に利点があることを証明していること、日本など世界中の国々で政府も巻き込んでWEPsに取り組む協力体制が構築されていることなどを高く評価して、国連を挙げてより一層WEPs に取り組むと呼びかけました。

このように、今回の会合においても、多くの企業が世界中で女性のエンパワメントとダイバーシティに熱心に取り組んでいることがわかりました。国連WEPs事務局からも2013 年度は取り組みを一層強化したいとして、具体的には企業の好事例に関する情報の共有を進めるために、データベースの公開やSNS による広報の強化などが予定されていると説明されました。日本も、こうした世界各地の先進的な好事例から学んで、女性のエンパワメントを推進して経済の発展を遂げることが望まれていると思われます。

次回は、WEPs の原則4の健康や安全についてご紹介します。

【おおにし・さちよ】博士(法学) 立命館大学教授 専門は憲法、ジェンダーと法・政策。主著に『女性と憲法の構造』(信山社、2006 年)、「企業による人権尊重の展開」(法學志林111 巻1 号、2013 年)など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第7号(2013年4月5日発行)から転載しました)

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