――それでは、留職の経験をどう社内で活かしていますか。また行く前と行った後ではどう変わりましたか。
名島:行く前には、自分でやれることは何でも自分の中で処理しようとしていました。自分でできることを誰かに頼むのは悪いことだと。
また、誰かに頼むよりも早いことも多いので他人を巻き込むというよりは、何でも自分でやってしまうというスタイルでした。
しかし、この留職を体験して考えが変わりました。
最終的な成果を上げるためには他人を巻き込むことでシステムの成果もより良くなるし、システム構築に関わった人もシステムに対する思い入れも深まります。それが留職での経験で得たものです。
他人を巻き込むということは決して悪いことではなく、より良い結果を残せるのだということを学び、働き方が変わりました。

今も社内外で様々な人々が関わる場合がありますが、開発委託先の方々でも分け隔てなく仲間として力を合わせようとしています。
宮下:今までは自分の仕事だけで精いっぱい。自分の仕事さえ終ればいいという気持ちで周囲を気にかけなかったのですが、自分の仕事だけではなく全体を見ることを意識することが、変わったところです。
現地では当然上司もいませんし、自分が動かなければ何も完成しません。会社でも自分に任された範囲では皆積極的に動きますが、ただチームとチームの間に球が落ちたようなグレーゾーンの仕事に関しては、その仕事は誰もがどうやればいいのか分からないのでやりたがりません。結果としてその仕事が最後まで残ってしまうことになります。
全体的に仕事を見る視点ができたことで、そういう仕事を積極的にやろうとする気になりました。最終的に何をゴールにしているのかの視点をもったことがとても貴重な体験になりました。
清水:当社が社会イノベーションを掲げている以上、従業員には様々な枠を越え新たな挑戦をしてもらいたいと思います。ぜひとも若手の人たちには留職を通じてどんどんチャレンジしてほしいですし、成功、失敗から学んで欲しいと思っています。
NPOの人々の社会的課題に対して自分が国を変えようという一人称のリーダーシップ・マインドを感じてもらうことで、自らを振り返りイノベーションを起こすための問題意識を常に持ちながら今後社内で活躍していってほしいと思っています。