経済産業省が進める自然エネルギーの固定価格買取制度の見直しを受け、NPO環境エネルギー政策研究所(ISEP)は6日、提言を発表した。この中で、自然エネルギーの本格的導入に必要な「優先給電」が考慮されないまま原発の供給力を見積もるなどの問題点を指摘。自然エネルギーの導入を最優先に制度の運用見直しを行うよう求めている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■自然エネ導入「野心的目標掲げよ」
経産省の見直し案は、買取抑制(出力制限)の対象を発電出力500キロワット以下の太陽光、および風力発電設備にも拡大するなどの内容。電力会社管内に自然エネルギー電源を接続できる量の上限として試算された「接続可能量」を基準とした。しかしその算定には、老朽原発までも含めた原子力発電の供給力が見積もられている。
提言では、自然エネルギーの導入量をめぐり「明確な目標が存在しないことにより、本来、最優先されるべき自然エネルギーが軽視」されている点を問題視。「欧州の様な野心的な目標値を掲げる必要がある」とした。
また、接続可能量を「無用なもの」と批判。自然エネルギーの接続に上限を設けずとも「気象予測や電力会社間の連系線、分散型市場などでの活用」で「十分に対応可能なはず」と分析する。
原発については「震災前過去30年間の設備平均利用率を用いて供給力を算定」し、「結果的に太陽光発電の『接続可能量』を大幅に引き下げている」と指摘。原発を「ベースロード電源」として供給力を評価することは「自然エネルギーの本格的導入に対して大きくブレーキをかける結果となる可能性がある」と警告した。
買取抑制に関しても「優先順位への配慮はあるものの、規模が小さい太陽光発電設備ほど運用面や費用負担などへの影響は大きい」と予測。「公平性の観点からも適切に実施すべき」などと主張している。