20代社員の約2割がメンタルヘルス不調に、うち4割は離職も

記事のポイント


  1. 20代社員の約2割がメンタルヘルス不調に陥ったことが民間調査で明らかに
  2. そのうち、20代男性の33.6%、女性は38%と、約4割が離職を経験
  3. 若年層ほど離職しやすく、相談体制の周知など、サポートが欠かせない

パーソル総合研究所(東京・港)はこのほど、20代社員の約2割がメンタルヘルス不調に陥った経験があることを明らかにした。そのうち、20代男性は33.6%、女性は38%が離職を経験しており、若年層ほど離職につながりやすい。研究者は「職場に相談せず重症化するケースが依然として多い」と指摘する。(オルタナ編集部=松田大輔)

パーソル総合研究所はこのほど、20~69歳の男女3025名を対象に、過去3年以内のメンタルヘルスの状況について調査した。その結果、若年層ほどメンタルヘルスの不調を経験しており、20代男性で18.5%、20代女性では23.3%が不調に陥った経験があることがわかった。

若年層ほどメンタルヘルスの不調に陥りやすい。調査では、メンタルヘルスの不調を「生活の質に影響を与えるような強い不安や悩み、気分の落ち込み、ストレスからくる体の不調など」と定義(出所: パーソル総合研究所)
若年層ほどメンタルヘルスの不調に陥りやすい。調査では、メンタルヘルスの不調を「生活の質に影響を与えるような強い不安や悩み、気分の落ち込み、ストレスからくる体の不調など」と定義(出所: パーソル総合研究所)

メンタルヘルス不調の経験者全体の退職率は25.3%だった。一方で、20代では35.9%と高く、若年層のメンタルヘルス不調ほど離職につながりやすい実態が浮き彫りになった。

若年層ほど退職につながりやすい。
同社のレポートによると、20代はスマホの利用時間が長く、疲労やストレスがたまりやすい傾向にある。
「怒られたくない」「人目を気にする」といった若年層の傾向も、メンタルヘルスの悪化につながるという(出所: 同上)
若年層ほど退職につながりやすい。同社のレポートによると、20代はスマホの利用時間が長く、疲労やストレスがたまりやすい傾向にあるという(出所: 同上)

メンタルヘルスの不調を防ぐためには、相談体制の整備・周知など、周囲のサポートが欠かせない。調査では、職場内で相談や報告をした人は46.1%だった。2人に1人は相談できず、サポートを得られていない状況だ。

メンタルヘルスの不調を相談しなかった20代の退職率は35.2%に上り、
他の年代に比べて高い(出所: 同上)
メンタルヘルスの不調を相談しなかった20代の退職率は35.2%に上り、
他の年代に比べて高い(出所: 同上)

パーソル総合研究所の金本麻里研究員は、「管理職の多くは早期相談を推奨し、メンタルヘルス不調による不利益な取り扱いの違法性も認識している」と指摘する。

「しかし、現場では同じ認識が行き渡っておらず、『相談すれば評価・評判が下がる』との根強い認識や、相談後の職場の対応の不透明さから、職場に相談せず重症化するケースが依然として多い」(金本氏)

人手不足が深刻化する中、若手社員の離職を防ぐためにも、メンタルヘルスのケアは重要な経営課題だ。ストレスチェックや職場での声掛けで社員の異変を見抜くこととともに、相談しやすい体制を整備し、社内で周知することが求められている。

matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #ビジネスと人権

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