WWF(世界自然保護基金)ジャパンは2月19日、「ビジネスと生物多様性勝手にアワード」を発表した。東京証券取引所第一部上場企業国内会社1818社を対象に調査した結果、キリンホールディングスが大賞を受賞した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
2010年の「第10回生物多様性条約(CBD)締約国会議」を機に、日本でも生物多様性が重要なテーマとして位置づけられるようになった。だが、「社会貢献活動の域を出ず、事業が直接関係する環境問題との認識はまだ広まっていないのが現状」(WWFジャパン)だ。
そこで、WWFは2009年、市場変革イニシアティブを国際的に立ち上げ、サプライチェーンマネジメントを通じて、企業は生物多様性保全に大きく貢献できることを訴えてきた。
「ビジネスと生物多様性勝手にアワード」は、特に原材料調達の面で、先進的な企業の取り組みを後押しするのが目的だ。環境報告書類やウェブサイトなどの情報を基に、9つの評価項目と4つの評価観点で総合的に評価した。
大賞を受賞したキリンホールディングスは、長期環境ビジョンと 2050 年目標を土台として、生物多様性宣言と調達方針が体系的に構築されている点が評価された。同社は、事業の中核をなす原材料(茶葉やコーヒー)のみならず、森林減少要因として世界的に問題となっている原材料(パーム油や紙)などにも配慮している。
受賞企業の一覧は次の通り。
◆百獣の王賞(大賞に相当)
キリンホールディングス
◆オリーブの葉賞(優秀賞に相当)
<生物資源製造業セクター>
花王株式会社
<非生物資源系製造業セクター>
リコー
<商業セクター>
イオン
<金融業セクター>
三井住友トラスト・ホールディングス
◆火中から栗賞(特別賞に相当)
不二製油
◆虎穴で虎子賞(特別賞に相当)
三菱製紙
◆山椒の実賞(特別賞に相当)
日本板硝子
◆亀の甲より年の功賞(功労賞に相当)
鹿島建設
※豹変賞(努力賞に相当)、栴檀は双葉より芳し賞(新人賞に相当)は該当なし