責任ある企業経営̶̶研究者と実務家による議論を【企業と社会の関係】

齊藤紀子さん

今回は、今月19-20 日の2 日間にわたって開催予定の国際ジョイント・カンファレンス「CSR とコーポレート・ガバナンス」(主催・共催:学会 企業と社会フォーラム、フンボルト大学国際CSR カンファレンス(※)、ベルリン日独センター、於:早稲田大学)についてご案内致します。

日本企業は今、CSR を社会貢献と理解する次元を越えて、経営プロセスにどの程度CSR を埋め込んでいるか、グローバルな持続可能な発展にどの程度貢献しているか、ということが問われています。

今日、「CSR をマネジメント・プロセスに組み込んでいくことが大切である」という理解は広がりつつあります。ただ、実際にCSR をマネジメントの課題として捉え、実行し、管理していくためには、経営戦略および事業計画の中に明確に埋め込んでいく必要がありますが、それに着手している企業はまだ少ないのが現状です。

自社にとっての課題・目標を明らかにし、KPI を設定し、具体的取り組みを進め、達成状況を検証し、改善につなげていくよう管理すること。このプロセスにおいて企業経営者は、多様なステークホルダーの利害や意見に応えながら企業経営全体として統治していかねばなりません。

自社にとっての課題・目標を明らかにし、KPI を設定し、具体的取り組みを進め、達成状況を検証し、改善につなげていくよう管理すること。このプロセスにおいて企業経営者は、多様なステークホルダーの利害や意見に応えながら企業経営全体として統治していかねばなりません。

これまでCSR とコーポレート・ガバナンスは、別々に議論されてきました。上記を踏まえ、両者の関係性を理解し、具体的に対応していくことが重要になっています。CSR、コンプライアンス、経営企画、監査など関係する部署の担当者が共通の問題意識を持つべきだと思いながらも、実際には別々に動いているという状況が散見されます。そこで本カンファレンスでは、CSR マネジメントとコーポレート・ガバナンスにかかわる様々な課題について議論します。

■ 国際的な議論を目指して
これまで本欄でもご紹介してきたとおり、企業活動のグローバル化にともない、ガバナンスにおける本社とローカル企業の役割分担、長いサプライチェーンにおける労働者や地域住民の人権への配慮、これらを巡る様々な国際基準やガイダンスへの対応など、企業経営におけるCSR 課題を巡る動きが加速化していることが報告されています。

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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