■ コカ・コーラのCSV 成果の測定事例
コカ・コーラは、ブラジルで低所得層の若者がスキル不足で仕事を得られないという社会問題に対して、そうした若者をNGO などとともに教育しつつ、コカ・コーラの小規模流通業者の戦力として活用するプログラムを実施しています。

このプログラムについて、コカ・コーラは、社会にとっての価値の指標として、若者の就職率と自尊心の向上を、企業にとっての価値指標として、売上・利益とブランド認知度を設定しました。プログラム推進の結果、30%の若者がコカ・コーラまたはコカ・コーラのパートナーで継続して働くこととなり、10%は自分で事業を始めることになりました。また、2 年間でプログラムは利益が出るようになりました。

コカ・コーラは、設定した指標の推移などの成果を見ながら、プログラムに必要な改善を加えていき、当初に意図したとおり、若者の就業率や仕事に対する意識を改善しつつ、コカ・コーラの流通業者の業績向上や地域におけるコカ・コーラのブランド向上を実現しています。

CSV は、企業活動を通じて、社会にとっての価値と企業にとっての価値を両方生み出そうとするものですが、従来の社会貢献活動が企業の評判を上げるという説明のもと行われていたように、多くの企業活動について、社会にとっての価値と企業にとっての価値の両方を生み出していると定性的に説明することは、可能です。

しかし、CSV の本質的目的は、資本主義システムを持続可能なより良いものにすることであり、社会にとって本当にインパクトのある活動を実施し継続することが求められます。そのためには、そうした活動が企業にとっての価値も同時に生み出すことが求められます。

各企業が行うCSV が、本当に社会と企業にとって大きな価値を生み出しているかどうかは、評価指標を設定し成果を測定すれば、明らかになります。CSV を推進する多くの企業に取り組んでもらいたいものです。

【みずかみ・たけひこ】東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。

(この記事は、株式会社オルタナが2013年7月5日に発行した「CSRmonthly 第10号」から転載したものです。)

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