自然も社会も、CSV で社内外のリソースを味方に【世界を変えるCSV 戦略】

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水上 武彦(株式会社クレアン)

国際統合報告評議会(IIRC)は、コンサルテーション草案の中で、「全ての組織は、成功のために多様な形態の『資本』に依存する」とし、多様な形態の「資本」として、財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本の6つを提示しています。こうした多様な「資本」を活用して価値を創造するという視点は、これからの企業経営にとって、ますます重要性を増していくでしょう。 

20世紀後半までの産業資本主義社会(工業の時代)には、企業の差別化の源泉は、大規模設備などの製造資本と財務資本でした。労働力が豊富で、大量生産・消費で経済が発展している時代には、大量の資金を調達し、設備を大規模化し、規模の経済を確保することが、企業の成功要因でした。

20世紀後半以降のポスト産業資本主義社会(情報の時代)には、より高度な製品・サービスが求められるようになり、企業の差別化の源泉は、知識となりました。知的資本やそれを生み出す人的資本の重要性が高まったのです。それを示すものとして、無形資産の価値増大があります。企業価値に占める無形資産の割合は、1975年の20%以下から、現在は80%以上になっています。

これからの時代は、さらに新しい差別化の源泉が必要となります。1 つは、オープン・イノベーションやコ・クリエーションなどの社外のステークホルダーとの協働を通じた新しい価値創造です。社外のリソースを活用した価値創造には、幅広いステークホルダーとの信頼関係の構築、すなわち社会・関係資本の強化が不可欠です。

ネイチャーテクノロジーなど自然から学ぶイノベーションも注目されています。水資源、遺伝子資源なども企業の競争力に影響する要素です。企業の競争力向上のために、自然資本活用の重要性が高まっていると言えるでしょう。

■CSVで多様な「資本」を有効活用

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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