ロック・ミュージシャンによるCSR [笹谷 秀光]

■「12-12-12/ニューヨーク、奇跡のライブ」

先日この映画を見ました。これは、ロック・ミュージシャンのCSR活動について、その企画・実施・舞台裏にまで迫ったコンサートとドキュメンタリー映画です。2012年12月12日にNYのマディソン・スクエア・ガーデンで実施されたチャリティ・コンサート「12-12-12 ザ・コンサート・フォー・サンディ・リリーフ」の映画です。2012年の10月にアメリカ東海岸に最悪の被害をもたらしたハリケーン「サンディ」の被災地救済が目的でした。

「サンディ」は米国では100年に一度といわれる大災害となったハリケーンです。ニューヨーク州及びニュージャージー州を中心に800万世帯が停電、被害額は8兆円規模といわれます。沿岸部では数十万人に避難指示、アメリカ全土及びカナダで132名の死者が出るなどの甚大な被害をもたらした、とのことです。

被害後わずか1か月半の間に大規模なコンサートの準備を進めた企画者・主催者の苦労話も織り込まれています。ニューヨークという音楽の中心地という場所柄もあり、コンサートには、米国の救援に、英国からもビックアーティストが集結しました。ポール・マッカートニー、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、エリック・クラプトン、そしてピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズなどが一堂に会していて、コンサート・シーンは感動ものです。

映画の公式サイトによれば、世界中で約20億人が視聴可能な環境を整え、一晩で5000万ドル(約54億円)もの復興基金を集めた史上最大規模のチャリティ・コンサートということです。

欧州の同種企画とは異なるプロモーション手法やスタッフの動きが感じられます。米国でのこのような企画の形成過程と動員力の高い手法、そして米国流のチャリティ色の強い運営には興味深いものがあります。

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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