原発を問い母親が遺したノートをきっかけに製作したドキュメンタリー映画「わたしの、終わらない旅」。フランスの核再処理施設の過去と現在、核実験で故郷を追われたマーシャル諸島の人々や、実験後もその場で生活を続けるカザフスタンの人々の姿を見つめ、広島・長崎の原爆投下や第五福竜丸の被曝、福島第一原発事故を照らし合わせてみせる。見えてくるのは、世界は核エネルギーに翻弄されているという事実だ。(松島香織)
監督・撮影した坂田雅子さんは、4月5日にポレポレ東中野で上映後、28年間原発建設反対を続けている祝島(山口県上関町)を取材した映画「祝の島(ほうりのしま)」を監督した纐纈あやさんと、原発について対談した。
纐纈監督は「映画館の大きなスクリーンで核実験の爆発を見た時、例え平和利用であっても本能的に違う、という感覚があった」と述べ、祝島にIターンで移住する若者や家族が増えていることに触れ、それこそが「希望」だと話した。
坂田監督は「日本のように資源が無い国には産業として核が必要だというが、大事なものを見逃している」と話し、「原子力は地球を傷つけている。人類は手を付けてはいけないものに手を付けてしまった」と警告。「ドイツで脱原発が可能だった理由」を次回作のテーマに挙げ、映画とは「世界に開かれた窓」であり、自分にとって「社会運動」だと力強く話した。
今後は、愛知県名古屋市のシネマスコーレで4月17日まで、長野では東座(塩尻市)で6月中旬以降、相生座・ロキシー(長野市)で7月25日から8月7日、大阪の第七藝術劇場(淀川区)で今夏の上映が予定されている。
◆「わたしの、終わらない旅」http://cine.co.jp/owaranai_tabi/index.html