国は沖縄県との事前協議に「消極的」? 辺野古新基地本体工事で

国が沖縄・名護の辺野古沖で進める米海兵隊新基地の建設で、沖縄県は国に対し、海上ボーリング調査終了後の本体工事の実施設計に関する事前協議を求めている。これについて防衛省の担当者は13日、「県の見解は報道でしか知らない」と述べ、県との事前協議に関する明言を避けた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■防衛局、調査未了でも本体工事契約急ぐ

辺野古での米軍新基地建設をめぐる市民と政府との交渉=13日、都内で
辺野古での米軍新基地建設をめぐる市民と政府との交渉=13日、都内で

県は新基地建設にともなう埋立承認の際、「工事の実施設計について事前に県との協議を行うこと」とする留意事項を付けている。

沖縄防衛局は辺野古沖での海上ボーリング調査の期限を6月末に定めて作業を進める。中谷元・防衛大臣は3月に「今夏には埋立本体工事に着手したい」との見解を示したが、菅義偉官房長官は同6日の会見で事前協議の必要性を認め「事業者として誠実に対応するのは当然」と述べた。この問題について琉球新報は5月2日、「量によってかなりの時間や労力がかかる」とする県担当者の見解を報じている。

県との事前協議が長引けば、夏の本体工事着手は困難となる。13日に行われた国と環境保護団体などとの交渉(FoE Japanほか主催)で、防衛省の担当者は県との事前協議について「適切に対応する」と述べて具体的な言及を避ける一方、「我々の考えに従って行う」とも話した。

防衛局は昨年11月以降、埋立本体工事に関して既に8件、合計422億円の契約を締結。海上ボーリングの調査結果も待たず、着工へ前のめりとなる国の姿勢が際立つ。

交渉に参加した「沖縄平和市民連絡会」の北上田(きたうえだ)毅氏は「(仲井眞弘多・前沖縄県知事は)国と県との事前協議についてあいまいな形のままで埋立承認した」と指摘。「翁長雄志知事に代わった今、県の姿勢も変化している。(沖縄の民意の反映には)知事と県民がぶれないことが大事だ」と話した。

■過剰警備で市民に負傷者「関与せず」

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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