低収入・低識字率・低購買力のため従来はチャリティや宗教組織が限られた予算で期限付きのプロジェクトとして社会サービスを提供していた地域で、グラミングループはマイクロクレジットをはじめとしたビジネスを展開し、貧困層もビジネスに参画できることを証明しました。そこで途上国におけるプロジェクトを進めるにあたりグラミングループと協働しているといいます。
進行中のプロジェクトの1つとして、「1コミュニティに1クリニックを」をテーマとした、ポータブル・クリニック・プロジェクトが紹介されました。本プロジェクトでは、無職の少女を約1年間の研修をもってグラミン・ヘルスケア・アントレプレナーとして育成し、農村部で検診サービスを提供するという活動を行っています。ヘルスケア・アントレプレナーの女性たちは、血圧、血糖値、血中酸素などの測定器、体重計、通信端末などが入ったカバンを持って村々を巡回し検診データを医者に送る役割を担っており、この遠隔医療システムによってこれまでに約3万人の検診を行うことができたということです。現在のプロトタイプを改善・量産化し、ビジネス展開していく予定とのことで、マレーシアやインドネシアなどの国々からも注目されているということでした。
長島洋子氏(日本ヒューレット・パッカード・環境推進本部部長)からは、E-wasteと呼ばれる電気・電子機器廃棄物をめぐる現状と、ケニアにおけるE-wasteリサイクルプロジェクトについて報告が行われました。
E-wasteとは、使用済みの電気・電子機器(パソコン、テレビ、カメラ、携帯電話など)を指します。金や銅などを含む資源であり、適切に回収・再利用を行うことを通して雇用をうむことが可能ですが、途上国では貧困地域の人々によるインフォーマルな回収・焼却処理が有害物質を排出し、環境や人々の健康に悪影響を与えていることが指摘されています。いまやアフリカでも、電子機器の消費が急激に伸びており、使用済み機器の適切な回収・再利用は重要な課題となっています。