職場の同僚の過半数がボーナスを諦めなければ、自分がクビに――。窮地に追い込まれた女性が、ボーナスを諦めるよう同僚を説得して回る姿を描く映画「サンドラの週末」(2014年、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督、ベルギー=フランス=イタリア、95分)が23日に公開される。封切りを前に、作品を通じて専門家や学生が「ブラックバイト」を考えるシンポジウムが20日、都内で開かれた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■労働者が団結して仲間売る
作品の舞台はベルギーの中小企業。主力製品のソーラーパネルがアジア勢に押され、経営が厳しさを増す中、社長は人員整理を決意。病気による休職から明けたばかりの女性従業員、サンドラ(マリオン・コティヤール)が解雇されることになった。女性は社長に頼み込み、投票で16人いる従業員の過半数がボーナス取得を諦めれば、解雇を取り消すとの約束を取り付けた。
投票は週明けの月曜に行われる。主任が「ボーナスを諦めれば他の従業員もクビになる」と脅して裏工作を進める中、従業員の家を1件ずつ訪ねて説得を試みるサンドラの週末が始まった――。
自らの雇用を守るために結束して仲間を売るという状況設定は、20世紀末にフランスの自動車工場で実際に起きた出来事がモチーフとなっている。監督は「自分の利益のために誰かを貶めることが再び起きて欲しくない」との思いで作品を製作したという。
■誰かの支えがあれば立ち向かえる
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