
日本財団が進める「ネレウスプログラム」の研究者らが、6月30日に記者会見を開いた。彼らの予測では、世界的な人口増と漁獲圧の増加に気候変動の影響が加わり、2050年までに魚資源が最大6割減少するという。今年12月のCOP21に先立ち、「特に魚好きな日本」で発表した。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
2011年から9年間の同プログラムでは、ブリティッシュコロンビア大学など世界の7つの大学・研究機関が連携して、グローバルかつ分野横断的な海洋研究を進めている。「ネレウス」は、ギリシャ神話の海神に由来する。
ブリティッシュコロンビア大学のダニエル・ポーリー教授は、実際の漁獲量の4分の1しか報告していなかった海域を例に挙げ、「国際連合食糧農業機関(FAO)の水産統計は不完全」と指摘。「12年かけて調べ直した結果、漁業が海洋生態系に与える影響は、従来の認識以上に大きいと分かった」と語った。
同大学のウィリアム・チュン准教授やプリンストン大学のホルヘ・サルミエント教授は、気候変動による海水の温度上昇、酸性化、酸素濃度低下はすでに起きており、魚の北上や生息域の減少は「今後さらに加速する」と予測した。
研究成果をまとめた『ネレウス海の未来レポート』は、日本財団ホームページで7月1日からダウンロードできる。
◆ネレウスプログラムレポート: 海の未来を予測する: 気候変動、 海、 魚資源
http://www.nereusprogram.org/ja/nereus-report-predicting-future-oceans-climate-change-oceans-fisheries/