CSR事例を他社と共有する「CSRリーダー会議」――カシオ、CATiCなど登壇

第二回CSRリーダー会議でプレゼンしたCATiCの教来石小織代表。カンボジアの農村部で映画の上映を行っている
第二回CSRリーダー会議でプレゼンしたCATiCの教来石小織代表

CSRの取り組みやNPOの活動をプレゼンし、ワールドカフェ方式で議論する「第二回CSRリーダー会議」が日本財団ビル(東京・港)で、7月8日に開催された。約20社が集まるなか、カシオ計算機、NPO法人CATiC(キャテック)などがプレゼンを行った。(オルタナ副編集長=吉田広子)

■「命の授業」でいじめをなくしたい

カシオ計算機は2007年から、のべ467機関・団体で「命の授業」を実施し、4万7130人が授業を受けた。それまで、環境問題や省エネルギーなどに関する出前授業を行っていたが、もっと本質的な授業が必要ではないかと考え、「命の授業」を展開するに至ったという。

1回の授業は90分間。聴診器を使って互いの鼓動の音を聞いたり、先祖と自分のつながりを考えたりするなど気付きを与える授業を行っている。

カシオ計算機CSR室の木村則昭室長は、「電卓や電子辞書、プリンターなど多くのカシオ製品が教育現場で使われている。学校が抱えている問題に対し、当社が取り組むべきだと思った。子どもは財産。『いじめ』を撲滅し、『自殺』する子どもを根絶したい」と語る。

「直接的に売り上げが上がったということはないが、授業を受けた子どもたちから、『いじめを止めます』『自殺を考えていたけど思いとどまった』といった声が届く。一人でも助かる命があれば、取り組んできた意味がある」と続けた。

■カンボジアの子どもたちに映画で夢を伝えたい

NPO法人CAtiCは、日本のアニメをクメール語に翻訳し、カンボジアの貧しい農村部にプロジェクターやスクリーンを持ち込んで、即席の上映会を行っている。1回あたり50人から400人の子どもたちが目を輝かせて鑑賞するという。

CATiCの教来石小織代表は、「大学時代に途上国を訪れた時、子どもたちに『夢は何か』と尋ねてもほとんど返事がなく、唯一、身近な大人である『先生』と答える子がいる程度。夢は、知らなければ描くこともできない。途上国で映画を上映することで、夢を思い描くきっかけになれば」と思いを語る。

「寄付で成り立つ事業なので、資金的には厳しい。カンボジアの農村部での上映会は、夢のたねまきのようなもの。活動を広げていくためにアドバイスや協力を得ていきたい」と続けた。

「CSRリーダー会議」の参加資格は、「CSR検定」の合格者であること。「第二回CSR検定3級試験」は今年10月4日に全国14会場で実施される予定だ。合格後は、各地区で「CSRリーダー会議」が開催される。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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