チャリティ・イベントによる寄付金額の減少とイベントの多様化[長浜 洋二]

インターネットを介したものなど、寄付の手段が多様化している。チャリティイベントに依存せず、ステークホルダーを見極めながら窓口を柔軟に設定する必要があるだろう
インターネットを介したものなど、寄付の手段が多様化している。チャリティイベントに依存せず、ステークホルダーを見極めながら窓口を柔軟に設定する必要があるだろう

これからの時期は、屋外でのチャリティ・イベントが増えてきます。そのバリエーションも、歩く(walk)、走る(run)、自転車に乗る(bike)、泳ぐ(swim)など様々で、一般的に、「○○thon」(例:Walkathonなど)と呼ばれ、NPOにとって大きな資金源となってきました。ところが米国では、こうしたチャリティ・イベントによる寄付金額が減少してきているようです。(NPOマーケティング研究所代表=長浜洋二)

チャリティ・イベントのプロフェッショナルを支援する、Peer-to-Peer Professional Forumの調査結果(https://www.peertopeerforum.com/run-walk-ride-resources/research/)によると、2014年、規模の大きなトップ30のイベント合計で16.2億ドルの寄付金を集めていますが、2013年と比べて4100万ドル(2.47%)ほど減少しています。

この中には、米国がん協会(American Cancer Society)が運営する国内最大規模のチャリティ・イベント「Relay for Life」などが含まれていますが、2014年、同イベントで獲得した寄付金額は、前年2013年の3億8000万円から4500万ドル減少(11.84%)となる3億3500万ドルとなっています。

また、妊婦と乳児の健康増進に取り組むマーチ・オブ・ダイムス(March of Dimes)の「March for Babies」も、前年比で350万ドル(3.48%)減少し、設立以来、初めて10億ドルを下回る結果となりました。

このようにチャリティ・イベントで集める寄付金が減少している主な理由として、個人の寄付者がより自由に、自分の裁量で寄付をするようになったことが指摘されています。つまり、決められた日に時間を確保してわざわざ出向かなければならないイベントではなく、より自由に、柔軟に寄付をする方法を模索するようになってきたということです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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