来年施行される電力自由化を前に、「核燃料サイクル事業」を継続方法を検討する経済産業省の作業部会の初会合が14日、都内で開かれた。現在、核燃料サイクルの要となる使用済み核燃料の「再処理事業」は民間会社の日本原燃が担う。電力自由化以降も核燃料サイクル事業を維持することを目的に、国の関与を強めるかどうかが焦点だ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■認可法人化には慎重意見も
核燃料サイクル事業では使用済み核燃料の再利用を目的に、再処理工場でウランやプルトニウムを取り出す。この役割を担うのが原燃の六ヶ所再処理工場(青森・六ヶ所村)だ。
原燃は原発を保有する電力会社が出資し、再処理費用は電気料金に上乗せされている。電力自由化で電気料金の値下げが強まれば、再処理費用の安定確保に影響が出るだけでなく、原燃が再処理事業から撤退する可能性も生じる。
このため国は、原発依存度の低下も踏まえ、今後の核燃料サイクルの維持に必要な策を講じることを目的に作業部会を設置。会合で経産省は、原燃との比較として、高レベル放射性廃棄物の最終処分事業における体制と資金の流れを紹介した。実施主体のNUMO(原子力発電環境整備機構)は国の認可法人で、容易に解散できない。また、事業費用を拠出金として納めることが原子力事業者に義務付けられている。
出席した委員からは「民間企業の経営判断を補完する形で国の責任を明確にすることが極めて重要」(大橋弘委員)「事業者と国の責任が並存する必要がある」(永田高士委員)などと、国の関与を強めることに理解を示す意見が相次いだ。
一方、認可法人化をめぐっては「国の関与で責任主体が重層化し、マネジメントできなくなる」(城山英明委員)「電力自由化とは原子力事業者も経営破綻する可能性があるということ。核燃料サイクルを含めたバックエンドを民間に負わせるならば、潰れない仕組みが必要だが、完全にモラルハザードが起きる」(圓尾雅則委員)と慎重な見方も示された。