オーガニックコットンでエコファンづくり――いわき市のおてんとSUN企業組合の試み[CSR48・太田 康子]

福島県いわき市で9月5日、オーガニックコットン畑を中心とした体験見学会「第1回エコひいきの会」が開催された。イベントを企画したおてんとSUN(さん)企業組合は2012年、原発に頼る生活を見直し、福島浜通りに活気を生み出そうという地元市民を主体に組織された。

今回のイベントの進行役も務めた金成清次さん(中央)
今回のイベントの進行役も務めた金成清次さん(中央)

「いわきだからできること、しなければならないことに取り組もう」を合い言葉に、現在、オーガニックコットン、コミュニティ電力、スタディツアーの3つのプロジェクトで活動している。この日は、オーガニックコットン畑のほか、糸紡ぎ、自然エネルギーなどを知ってもらう目的で、地域住民や首都圏からのボランティア経験者など約40人が参加した。(CSR48、リコージャパンCSR推進部=太田康子)

■女性がひとりで耕作する有機綿花畑
まず、オーガニックコットンを育てている畑の見学が行われた。大人の腰の高さまでで芽摘みされたコットンには、黄色や薄ピンクの花が咲いており、初めてみる参加者は珍しそうに写真に収めていた。ここで栽培されているコットンの品種は「和綿」。

コットンの花(左)と実(右)
コットンの花(左)と実(右)

繊維が短く加工しづらい上に洋綿に比べて収穫量も少ないという。しかし、独特の味のある仕上がりや風合いが楽しめるのだとか。洋綿の普及により今となっては希少種だが、日本の気候風土には合っているという特徴があるそうだ。

綿花は殺虫剤や枯葉剤などの農薬を大量に使う農作物として知られる。1990年代には世界の耕作面積の約2.5%で行われた綿花栽培に、農薬は世界の全使用量の20数%が投入されたという。大量の枯葉剤をまいて葉を落とし、枝に残った綿花を採取するという効率優先の手法が多く用いられていた。しかし、農薬に依存することを続ければ土壌が痩せ、微生物もいなくなる上に、農薬の原料となる石油などの限りある資源を使い果たす事にも繋がってしまう。

放射能にも強い綿をできるだけ農薬を使わない有機栽培で育て、収穫されたオーガニックコットンを製品化し販売するという一連の取り組みは、持続可能な農業として東日本大震災の被災地であるいわきを元気にしていくことになる。

「CSR48」は、企業のCSR担当者を中心に「CSRに関心のある女子たち」が集まったグループ。「CSRをもっと身近に」をミッションに、勉強会やイベントを実施する。⽬指すのはサステナブルな社会と、女性のエンパワーメントによって、利害や⽴場を超えて、より良い社会に向けたアクションをおこすこと。メンバーの所属は、商社、メーカー、ゼネコン、NPO法人などさまざま。 雑誌オルタナの連載の他、イベント登壇や4月はじまりのSDGsカレンダー発売など多彩に活動を広げる。オフィシャルブログ 執筆記事一覧

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