■調達や廃棄等でも対策が必要
WWFジャパンによる企業の温暖化対策ランキングは電機、輸送機器に続き今回の食品分野で第3弾となる。過去の平均点は電機の48.7点、輸送機器の46.7点で、食品企業はこれらを下回る結果となった。池原氏は「食の安全分野の対策が優先された結果、気候変動分野は後回しになっているのでは」とみる。
今回の調査では、主に自社の事業活動に関する指標で比較している。原材料の調達、流通などサプライチェーン、および消費や廃棄といったライフサイクル全体での温暖化対策に関しては評価が十分ではない。池原氏はこの点について「今後の課題」と認める。
食品の流通過程では膨大な廃棄が生じる。農水省の推計では、12年の国内の食品廃棄量は年間642万トンにも達する。製造・流通・消費での食品の廃棄を減らしていくことは、その過程で生じるエネルギー消費を削減する点で温暖化対策となる。
また、農薬や化学肥料を多用した工業的農業でも膨大な化石燃料を消費する。食品企業が、有機栽培に代表的な生態系農業による農産物の調達に切り替えを進めることも、温暖化の抑制につながるはずだ。
WWFジャパンは企業の温暖化対策について「科学的知見に基づいた長期的な視点を持ち、バックキャスティングによる目標設定が不可欠」と指摘。「自社の事業範囲に加え、(製品の)ライフサイクルを見据えた温暖化対策の実践が求められる」としている。
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