「被災地の声」で綴る、「復興ごはん」本

味の素は5月25日、災害復興期の「食」の力を紹介する書籍『復興ごはん』を小学館から発売した。同社は2011年から、復興支援として「味の素グループ 東北応援 ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」を展開している。同書では、せまい仮設住宅のキッチンでも作りやすく、栄養価の高いメニューなどを紹介している。(オルタナ副編集長=吉田広子)

『復興ごはん』(小学館)定価1100円(税抜)
『復興ごはん』(小学館)定価1100円(税抜)

『復興ごはん』では、赤いエプロンプロジェクトのパートナーである行政、社会福祉協議会、食生活改善推進員協議会、NPO、大学、仮設住宅の自治会といった「被災地の声」を綴りながら、復興の原動力となった「食」の力を紹介している。

仮設住宅では、キッチンがせまいことなどから料理離れが起こり、栄養バランスの偏りが問題になっていた。さらに、仮設住宅という新しいコミュニティーで高齢者が孤立化したり、引きこもりがちになってしまったりするといった社会問題も起きていた。

そこで、味の素は「心と体の健康づくり」を応援しようと、赤いエプロンプロジェクトを開始。2011年10月からは避難生活者の食生活を改善する「健康・栄養セミナー」を実施した。

大型トラックに、移動式キッチンや調理器具など、料理教室に必要な道具を積み込んで、被災各地をまわってきた。料理教室では、おいしさはもちろん、簡単で再現性の高いレシピを心掛けている。現在は東北3県に専任スタッフを派遣し、「健康・栄養セミナー」の実施回数は累計1833回、参加者はのべ2万8981人に上った。

本書『復興ごはん』では、「食」のエピソードや、「いっしょに作って、いっしょに食べる」ことで仮設住宅に住む人の心や体が満たされ、「食」の力が復興の原動力になっていった事例を紹介している。思い出のメニューとして、宮城県東松島市の「カツオの餃子」や、福島県富岡町での「小松菜の海苔わさび和え」なども紹介。

売り上げの一部は東日本大震災・熊本地震の被災地支援のために寄付されるという。

◆『復興ごはん』(小学館)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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