小売り6社、絶滅を危惧しつつクロマグロ販売は継続

 

国際環境NGOグリーンピースが、小売り大手を対象に、絶滅危惧種の太平洋クロマグロについてアンケート調査を実施した。特に、資源減少に直結する産卵期の乱獲に関する意識を調べた。その結果、店頭の需要に押され、持続不可能な商売がやめられない実態が浮き彫りになった。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

グリーンピース・ジャパンは『マグロがいる海がいい』キャンペーンサイトで、アンケート調査の詳細レポートを公表している
グリーンピース・ジャパンは『マグロがいる海がいい』キャンペーンサイトで、アンケート調査の詳細レポートを公表している

アンケートは、国内大手スーパーマーケット・生協5社、デパート5社、回転ずしチェーン10社を対象に6月に行われた。計20社のうち、回転ずしチェーンのくらコーポレーション、カッパ・クリエイト、銚子丸、フーズネットは調査に応じなかった。

応じた16社のうち半数が「産卵期の太平洋クロマグロを販売している」と答えた。うち6社は、「販売し続けても絶滅することはないと思う」に「いいえ」と答えつつ、「販売を中止する」にも「いいえ」と回答。絶滅を招くと自覚しつつ販売中止を即決できないことが分かった。

太平洋クロマグロがIUCNの絶滅危惧種に指定されたのは2014年。その後も資源状態は悪化し、今年4月には国際科学委員会が、初期資源量の2.6%にまで減っていると発表した。

太平洋クロマグロは群れで回遊しているが、産卵期には特定の海域に大集合する。現在の産卵場は南西諸島海域と日本海で、ほとんどが日本の排他的経済水域内である。

集まったメスはゆっくり泳ぎながら産卵し、そこに放精するオスもやってくる。日本海での繁殖は毎年6〜8月。この集団を狙う漁は効率が良いが、確実に絶滅危惧種の減少を加速させる。産卵期のクロマグロ漁を全面的に禁じる規制は日本にはまだない。

グリーンピースは調査結果を受けて、水産庁に禁漁や規制を求めるキャンペーンを開始。ホームページなどで署名を集めている。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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  1. 勝 隆
    2016/08/03 4:00

    私もマグロ大好きで週一のペースで食べています、本マグロになると養殖物がほとんどですが餌の香りがついててあまり美味しくない、激減しているなら規制を厳しくしなければと思います回転寿司チェーンを中心に金儲けに走っているのはどうかと思います。

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