「フィンテック」と呼ばれるIT技術を駆使した新たな金融サービスが、米国で「マイクロファイナンス」(MF)の領域に進出し始めた。これまでのMFの仕組み上の問題点を解決し、スマートフォンやビックデータの情報をもとに、少額のローンを即時決済する。金融・IT業界のCSR/CSVとして注目されそうだ。(寺町 幸枝)

マイクロファイナンスは19世紀の欧州で信用協同組合として発達したが、1960-70年代には開発途上国を中心に広がった。途上国の貧困層向けの少額・無担保融資で、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が1975年にバングラデシュで設立した「グラミン銀行」で世界的に有名になった。
フィンテックとMFの統合型サービスを展開する米国のタラ社。経営するのはインド系米国人のシヴァニ・シロヤ(Shivani Siroya)氏(33)だ。2014年に起業し、新興市場におけるスマートフォンを利用した無担当・少額融資の即時決済を可能にしたアプリ「タラ(Tala)」を開発した。
現在ケニア、タンザニア、フィリピンで直接融資を行っている。平均貸し出し金額は50米ドル、利率は11%で、ローンの返済率は90%を超えるという。
「Forbes」の記事(注1)によると、すでに15万人以上に約2000万ドル(約20億円)を貸し付けており、昨年の売上高は150万ドル(約1.5億円))。当期利益は50万ドル(約5千万円)以上を計上している。