サステナビリティの共通言語SDGsとCSRの関係

株式会社伊藤園 常務執行役員 笹谷 秀光
株式会社伊藤園 常務執行役員 笹谷 秀光

SDGsに企業はどう対応すべきか。企業現場から見ていると、CG、ISO26000、CSV、ESG、SDGs 等次々と新概念が発出され、どう体系化していくのか混乱が見られる。すでに浸透・定着しているISO26000をベースに経営に組み込んでいくことが合理的である。今回は、その点を考えたい。(株式会社伊藤園 常務執行役員=笹谷秀光)

SDGsに企業はどう対応すべきか

SDGsは、国際社会全体のサステナビリティ目標として2030年を期限とする包括的な17の目標と169の指標を設定した。

「誰一人取り残さない」社会の実現がキーワードで、経済・社会・環境のトリプルボトムラインに、統合的に取り組む。企業も含めマルチステークホルダーの役割を重視しており、今後は企業が持続可能性を考えるうえでも不可欠な文書となる。

SDGsの17目標(ロゴは国連広報センター作成)
SDGsの17目標(ロゴは国連広報センター作成)

SDGsのピクトグラムは分かりやすく、うまく使えば浸透しやすい。持続可能性を企業戦略の中心に据えるためのツールとして「SDGsコンパス」もできた。これは、国連グローバル・コンパクト、GRI、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が作成したものだ。

SDGsコンパスでも企業現場の状況も意識して、ISO26000などの既存の国際枠組みの活用が推奨されている。

ISO26000 をベースにSDGsを組み込む

2010年発行のISO26000は、7つの原則と7つの中核主題で網羅性の高い整理がされており、次の特色がある。

①SDGsと同じくマルチステークホルダー・プロセスで策定

②GC,GRI,ILO,OECDと覚書をかわし整合性を確保

③すでに発行後5年が経過し日本企業ではISO26000で体系を整え、定着化させている企業が多い

④SDGsコンパスで示されたSDGsの企業への浸透の進め方はISO26000で社会的責任を企業に入れ込むプロセスと類似している。

そこで、ISO26000をベースとして、これに最新のSDGsで課題部分と年次目標を補強できる。

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笹谷 秀光(CSR/SDGsコンサルタント)

東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年~2019年4月伊藤園で、取締役、常務執行役員等を歴任。2020年4月より現職。著書『CSR新時代の競争戦略』日本評論社・2013年)、『協創力が稼ぐ時代』(ウィズワークス社・2015年)。『 経営に生かすSDGs講座』(環境新聞社・2018年)、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版社・2019年)。 笹谷秀光公式サイトー発信型三方よし 執筆記事一覧 

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キーワード: #SDGs

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