■私たちに身近な生物多様性(27)[坂本 優]
9月の動物愛護週間(9/20~9/26)は、5月のバードウィーク(愛鳥週間 5/10~16)に比べても、話題になることが少ない取組みだ。「動物愛護」というと、やや感傷的な「動物好きな人」向けのイベントのようにも受け取られるからだろうか。
だが近年の「動物愛護週間」では、動物の保護、虐待の防止といった目的にとどまらず、生態系や生物多様性の保全という観点から、ペットや野生動物とどのように関わるか、という側面に重点をおいた環境問題の一環としての取組が増えている。
ペットについて言えば、単に愛護、愛玩ということではなく、ペットが生活を豊かにすることへの感謝をベースにしつつも、飼い主の責任を果たすことの重要性を啓発する、という側面が強くなっている。それは殺処分されるイヌ、ネコや、駆除される外来生物を減らすなど、生きものの生命を無駄にしないことにつながる。
駆除対象の外来生物では、例えば現在、全国でアカミミガメが定着している。彼らは飼育下から逃げたり捨てられたり(放されたり)した、元はペットのミドリガメ、あるいはその子孫たちだ。

私たちが最後まで責任をもって飼養、管理していれば、全国の水辺に広がることもなく、ニホンイシガメが絶滅危惧種になったり(人による捕獲や開発の影響も大きいが)、ハス農家が被害を受けたりすることもなかっただろう。
そのアカミミガメの本格的駆除が始まっている。今後数十万匹、場合によっては数百万匹のアカミミガメが駆除される、すなわち生命を絶たれることになるのではないか。
このような状況を繰り返さないことも、まさに「動物愛護」そのものだ。
野生動物に対する「愛護」の考え方、取組みも変わって来ているように感じる。