もう一つの営農型太陽光、ソーラーシェイディング

太陽光発電の売電収入を得ながら農作物も耕す営農型太陽光発電といえば「ソーラーシェアリング」が有名だが、「ソーラーシェイディング」と呼ばれる方法もある。ミントなどの日陰を好む作物が対象で、狭い面積でも実施可能。日本のお家芸である軽薄短小の技術力を生かして、原発ゼロの社会を目指す。この技術を考案した太陽光発電の開発を行うGreenT(グリーンティ、山梨県北杜市)の吉田愛一郎会長に話を聞いた。 (オルタナS編集長・池田 真隆)

ハーブ栽培などに適したソーラーシェイディング

■景観配慮の太陽光装置

─ソーラーシェアリングとソーラーシェイディングの違いについて教えてください。

まず、2つの違いを説明する前に、営農型太陽光発電について説明します。これは、畑に太陽光パネルの支柱を立てて、営農と発電の双方を行うことを言います。
 
農林水産省は、第一種農地内であっても、農作物の収穫量が地域の標準収量と比較して80%以下にならなければ太陽光発電事業を許可するなどのガイドラインを発表しました。
 
営農型太陽光発電で有名なのが、「ソーラーシェアリング」と呼ばれるもので、すでに全国1054カ所(一般社団法人全国営農型発電協会、2017年5月)に広がっています。
 
太陽光パネルが設置された畑をよく見るようになりましたが、ソーラーシェアリングは作物の収穫量が80%以下にならないように、広大な土地を用意するなどの工夫が求められてきました。
 
一方、ソーラーシェイディングは、遮光を積極的に行い、太陽光を必要としない作物を育てます。パネル間に隙間を設けずに横並びで設置するので、消極的な遮光をするソーラーシェアリングに比べて土地の面積は半分で済みます。
 
なるべく大規模に、しかも太陽光をなるべく遮蔽しないように工夫する、いわば消極的遮光スタイルがソーラーシェアリングであれば、ソーラーシェイディングは直射日光が嫌いな作物や、薄暗がりを好む作物のために太陽光を積極的に遮光し、その成長を助ける仕組みです。ハーブやキノコ、薬草などの作物は、パネルの下の半日向、日陰で収穫量が増えます。

─日本の耕作放棄地の面積は約43万㌶。その対策にも有効でしょうか。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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