前回、「ローカリズムと日本農業」という記事を書いた。それに類することでいえば、グローバルかローカルか、ファーストかスローか、単一か多様性か、集中か分散か、いずれもこれからの時代を考える大切なキーワードだ。この問題は時代の趨勢としてどちらを選択するかというより、価値観の根底として何を選ぶかということだ。
1月30日、オイシックスドット大地がらでぃっしゅぼーやを買収、完全子会社化すると報道された。これでオイシックスを軸として、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや3社が統合される。総売上高は年商500億円前後となる。
大地を守る会とらでぃっしゅぼーやの創設にかかわってきたぼくとしてはやや複雑な心境だが、この動きをどう評価するか。3社統合を単に大規模化による経営的効率化とみるか、あるいはオーガニックマーケットの拡大につながるとみるか、見方は大きく二分されている。
現在、食品宅配業界は激しく変動している。マスコミは今回の統合はアマゾンとの競合に備えてなどと伝えているが、そのアマゾンの売上高は現在約20兆円である。イトーヨーカドーとアスクルが組むというが、売上高は合わせて約1兆5千億円、セブン&アイホールディングスが約6兆円だ。そしてイオンとヤフーが8兆8千億円、ソフトバンクを加えれば約18兆円となりアマゾンと近づく。
いずれにせよ圧倒的規模の違いがあり、今回の3社統合と比較すること自体に無理がある。もし、あえて同じ土俵に乗るとすれば、いずれより大きな枠組みが必要となるのではないか。食品宅配に純化した事業の採算性はもはやそれほど高くはないと思えるからだ。