フェアトレードタウンを目指す、いなべ市の「まちおこし」
前置きが長くなりました。実は、今回このコラムを書くきっかけが、フェアトレードタウンの認定までの歩みの中で、忘れられない出来事に臨席させていただいたことでした。2015年9月19日に名古屋市がフェアトレードタウンに認定された感激のコラムをすでに書いているので、読者の皆様は「またか」と思われるかもしれません。
しかし、その名古屋市の認定は、私にはお膳立てあるもの(いわゆる据え膳)をいただいた経験に似ていました。今回は、違ったのです。今回は、フェアトレードタウンの認定のために必要な一歩一歩を踏んでいく努力を追体験するようなものだったのです。私自身が始めたものではないけれど、「私自身がその場にいることでその想いを共有できた」と感じられるものでした。それは人口規模が比較的小さい新しい市で、達成できたことでした。その市の名前は「いなべ市」です。

初めて見る方も多い地名「いなべ」は、平成15年12月に旧北勢町、旧員弁町、旧大安町、旧藤原町が合併して誕生した若いまちで、古くから地形的にも文化的にもつながりが強いところでした。また、自然いっぱいの平らで広々とした土地を活かした農業と、名古屋からも近くて、滋賀県や岐阜県のとなりということで工場がたくさん建っているところでもあります。