三重県にフェアトレードタウンがやってくる

フェアトレードタウンの現在

読者のみなさんは、「フェアトレードタウン」という言葉をご存知でしょうか。

もし、ご存知でなければ、「フェアトレード」という言葉はご存知であると信じます。フェアトレードは、次のように説明できます。「フェアトレードは、発展途上国の生産物を適正な価格で継続的に購入することによって、発展途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指すものであり、その取り組みは、公平でグローバルな社会づくりに貢献するものである。」そして、フェアトレードタウンは、運動という言葉をつけて表現することがあります。そのフェアトレードタウン運動は、市民、企業・商店、行政などが一体となり、フェアトレードの輪を広げ、不利な立場に置かれた途上国の生産者の自立や、環境の保護保全への貢献やフェアトレードの切り口から地元の活性に取り組む運動のことです。日本では6つの基準*が設定されていて、この基準をクリアすると市町村単位で「フェアトレードタウン」の認定を受けることができます。

現在日本では、4つのフェアトレードタウンが存在します。日本での第一号(同時にアジアでの第一号となった)である熊本市(2011年)をはじめ、名古屋市(2015年)、逗子市(2016年)、浜松市(2017年)です。世界で最初にフェアトレードタウンになったのは、イギリス北部の小さな町、ガースタング(2000年)。ここで誕生して以来、今では世界30カ国に広がり、フェアトレードタウンの数も2135に達しています。その中には、ロンドンやパリ、ローマといった首都も含まれています(2019年1月末現在)。日本では、合計4都市が認定されていますが、その後、札幌市や岐阜県垂井町ほか各地でフェアトレードタウンを目指す市民活動が展開されています。

フェアトレードタウンを支える人材

ところで、今回のいなべ市の市長による宣言セレモニーに参加したことで、いなべ市の本気度を確認することもできました。これまで、いなべ市は市民活動の側面を大切にされ、活動の支えとなる力を発揮してくれていました。いなべ市はフェアトレードタウンに認定されるまで、また認定されたら、そのタウンを支える活動も継続して行っていきたいと仰っていました。

そうです。お気づきと思いますが、フェアトレードタウンに認定されたら、それでゴールではないのです。認定後は、そのフェアトレードタウンを支え、さらに継続してタウンを維持していっているかどうかの更新認定が必要となります。そのためには、フェアトレードタウンのその後の3年間のための目標設定とその目標達成ができなければなりません。市民運動として継続していくことに加え、当然行政側にも担当する人材が必要となるのです。

いなべ市を走る三岐(さんぎ)鉄道
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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