豪カンタス航空、フライトごみを2年で75%削減へ

カンタス航空はこのほど、フライトの後のごみ廃棄を大幅に減らす実験プロジェクトを開始した。シドニーからアデレードへのQF739便で、搭載する食品やカップなどを到着後、すべて堆肥化やリユース・リサイクルに回した。こうした試みは商業フライトとしては世界初と見られる。これを手はじめに、同社は2020年末までに使い捨てプラスチック製品1億個、2021年末までにごみの75%を削減する予定だ。(NZニュープリマス=クローディアー真理)

QF739便の機内の様子
© Qantas Airways Ltd.

5月上旬、シドニーからアデレードへのカンタス航空によるQF739便が、ごみを一切出さずにフライトを終えることに成功した。通常、同路線のフライトから出るごみは34キロ、年間量は150トンに及ぶという。

同社は同便での「ごみゼロ」を実現するために、使用プラスチックの見直しを行った。その結果、1000個の使い捨てプラスチック製品や、個別包装食品などのプラスチック容器入りのものを排除し、サトウキビやデンプンを原材料とした製品に切り替えた。これらは使用後、すべて堆肥化やリユース・リサイクルに回された。

「ごみゼロ」フライト、QF739便での機内食
© Qantas Airways Ltd.

今回の試みには、堆肥化が可能な素材を用い、サステナブルな容器を製造・販売するBコープ企業、バイオパック(本社・豪ニューサウスウェールズ州)と、水処理・廃棄物処理を行う企業、スエズ・エンバイロメント(本社・仏パリ近郊デ・ファンス)が協力している。

同社のごみ削減プラン、「バウワーバード・プロジェクト」では、2020年末までに使い捨てプラスチック製品1億個を一掃する予定だ。そしてカンタス航空傘下のジェットスターと共にカップ4500万個、カトラリー3000万セット、コーヒーカップ2100万個、ヘッドレストカバー400万枚をサステナブルな製品に替えるとしている。2021年末までにはごみの75%を削減する目標だ。

導入が予定されている、バイオパック社製のサステナブルな容器
© Qantas Airways Ltd.

アンドリュー・デービッド国内事業最高責任者は、「2社合わせての年間旅客数は5000万人以上に上り、ボーイング747型旅客機80機分の積載量と同じだけのごみを出している。従来同様の顧客サービスを、ごみを出さずに提供したいと考えている」と意気込みを語る。

カンタス航空は航空業界でも最大規模のカーボンオフセット制度を実践しており、分刻みでオフセットできる仕組みを乗客に提供している。今年の半ばからは、オーストラリア発の便の搭乗客で自らの空の旅のカーボンオフセットを希望する顧客には、その費用1AUドル(約76円)ごとに、同社のマイレージプログラムのポイントを10ポイントを付与する。これは他社による同様のプログラムより割が良く、メンバーに広まることが期待される。

2012年、同社はジェットスターと共に国内初のバイオ燃料によるフライトを試験的に飛ばすことに成功している。昨年には、豪州―米国間の国際線フライトでもバイオ燃料を採用した。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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