
◆オルタナ56号特集「SDGsビジネス戦略:アウトサイドインは昭和と海外に学べ」から
「人が手でやることは、僕は足でやる」。両腕の無い陳茲方さんは、強じんな意志力でスマホやITを両足で使いこなしネット店舗を開設。外部市場から隔たれた貧困農村の農産品を中国全土の消費者に販売し地元農家を支援している。中国のネットビジネスブームの一角で陳さんの事業は大きく成長している。 (斎藤 淳子=中国)
生まれつき両腕が無い陳さんは地元の貧困農村では「怪物」と呼ばれ、自己嫌悪に苛まれ自殺を考えたことが何度もあったという。小学校にも受け入れられなかったが、独学で足で漢字を書くことを学び、8回目の嘆願で入学を果たした。成績は良く、中学進学も果たしたが中学2年生で中退。その後は、薬草狩りや養豚、羊の飼育などを試み、母と兄とのギリギリの3人暮らしの生計に寄与してきた。
転機は、出稼ぎから戻った兄が買ってきた携帯電話だった。2012年に携帯電話の小さなボタンを足の指で操ることを会得。中国版LINEと言われる「QQ」や「WeChat」を使い、一気に世界が広がったという。