仏グリーンピースは2019年6月に、「EUの飼料用大豆消費が熱帯雨林を破壊し、気候変動を悪化させる」というレポートを発表した。それによると、EUは毎年3300万トンの大豆を輸入し、その約87パーセントが飼料に回される。大豆の輸入先は1位がブラジル(37パーセント)、2位がアルゼンチン(29パーセント)だ。

西欧の一人当たりの肉の消費量は年間平均85キロ、乳製品は260キロと世界平均の2倍だ。輸入した大豆は、欧州人が食べる牛・豚・鶏の餌になる。集約的畜産は糞害による環境汚染、アニマルウェルフェア、飼料生産にかかる多大なエネルギーなどの理由で、持続可能ではないと、近年は環境保護派だけでなく一般市民からも反対の声が高まっている。

輸入大豆の問題は他にもある。ブラジルでもアルゼンチンでも、95パーセント以上が遺伝子組み換え(GM)大豆だ。特にブラジルではそのほぼ100パーセントがモンサントの栽培品種で除草剤成分グリホサートに耐性がある、つまり、グリホサートが栽培に使われている。

「集約的畜産をやめ、頭数を減らし、牛には牧草を食べさせて大豆輸入をやめ、アマゾンの森林を守ろう」という声は仏WWFや、5月のEU議会選挙で躍進したヨーロッパ・エコロジー=緑の党を率いたヤニック・ジャドEU議員からも出ている。グリーンピースによれば、輸入量と同量の大豆を国内で生産するのは、フランスの場合ブルターニュ3県の全農地が必要なので無理。肉の消費量と生産量を減らすのが一番持続可能な道だという。

欧州ほど肉を食べない日本にとっても他人事ではない。2016年、日本の大豆輸入量は約312万6千トン。その71,5パーセントがアメリカから(1位)で、16,7パーセントがブラジル(2位)からの約52万4千トンだった(財務省「日本貿易統計」品別国別)。日本の場合、飼料だけでなく食用油などにもなるという違いはあるが、輸入を続ける以上、ブラジルの森林破壊に間接的に責任があるといえる。

マクロン氏は2019年6月末に成立したEUとメルコスール(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国が加盟する南米南部共同市場)との自由貿易協定(FTA)の暫定合意を歓迎していたが、今回のボルソナロ・ブラジル大統領の火災に対する態度を見て、合意に賛成しないと述べた。しかし、ブラジルからの農産物を禁輸にするとまでは言っていない。

8月27日、ブラジル政府は「この金額は欧州の植林に使った方がいい」とG7の支援金を拒否した。支援金は、G7とは別にイギリス政府が1千万ポンド(約13億円)、カナダ政府が1500万カナダドル(約12億円)、LVMHが1千万ユーロ(約12億円)、俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が500万ドル(約5億円)を申し出ている。これらについてのブラジル政府の反応はまだない。

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