小学生が放課後を過ごすコミュニティである「アフタースクール」を運営する、放課後NPOアフタースクールはこのほど、「第3回企業×NPO共創フォーラム」を開催した。基調講演では、村井満・日本プロサッカーリーグ理事長が地域との協働における次世代育成のあり方について、「日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)」で実践された共創事例をもとに講演を行った。(宮原大祐)
■Jリーグの事例から学ぶ共創の価値
Jリーグは「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」を理念の中心に据え、地域に密着して施設開放や交流活動を行ってきた。
「それでも野球人気には勝てなかった。だから視点を変えました。これまではJリーグが持っている施設の開放や選手との交流活動を提供するかわりに、サッカーを好
きになってね、よく思ってねという価値交換モデルでやってきた。でもこれからはJリーグを使ってみんなで社会課題を解決しようよという共創モデルの形にしたんです」と村井氏は語る。
その効果は絶大だった。多様なセクターから300個を超える様々な案が上がり、そこから実際にプロジェクトとして「あたまがよくなるスタジアム」が立ち上がった。これは地域の学生やサポーターが、宿題を持ってやってきた子どもたちの面倒を見てあげるという取り組みだ。Jリーグのスタジアムという場を使って、地域の人々が新たなつながりを得ることができた。
価値交換モデルでは富の取り合いになってしまい、そのまま続けていては限界を迎えてしまう。そこで見出した新たなモデルは、様々な立場の人たちが共通の課題を前に、同じ方向を向いて手を組むというもの、つまり「共創」だ。Jリーグもプレイヤーの一人となり、各々の強みを活かした共創モデルで課題を解決する。これが村井氏の出した答えである。