バイオジェット燃料などサステナブルな航空燃料(SAF)の普及が堅調だ。SAFの使用量は2025年までに70億リットルまで伸びるとの予測もある。航空業界の目標は「2050年までにCO2排出量を2005年の半分まで削減すること」。その達成を目指して、取引のスムーズ化や、共同でのSAF生産工場設立などの動きが活発化している。(NZニュープリマス=クローディアー真理)

SAFは、新型機や航空機用電動化エンジンなどのCO2排出量削減策の中でも、抑制に最も迅速に効果を発揮することが見込まれている。ライフサイクル全体を通し、従来の燃料よりCO2を80%削減できるためだ。SAFは2016年からアルトエアー・フューエルズ(本社・米国カリフォルニア州)が連続生産を開始。年間約1,000万リットルのペースで生産を続けている。
■空港・航空会社がSAFの購買契約

現在世界各国で、生産量・使用量を増やすために、SAFの売買・供給契約や生産工場設立が進んでいる。先渡購入契約を結び、SAFを購入している航空会社は9社。量は60億リットルだ。
ノルウェーの空港管理公社、アヴィノールは6月、バイオジェット燃料生産を行うためのパイロットプラントを開設することを発表した。設立にあたっては、GHG排出削減や、国内のエネルギー安全保障を確保するために設けられた国営企業、エノーヴァも資金を提供する。技術協力はクアンタフューエル(本社・ノルウェー オスロ)が行い、国内の林業からの木材チップやおがくずなどの木質バイオマスを利用し、SAFを製造する。
アヴィノールは800万クローネ(約9,500万円)相当のSAFを購入する。パイロットプラントでの試験が成功すれば、クアンタフューエルは少なくとも年に700~900万リットルの生産を初期目標に、本格的な工場の設立を検討することになる。

同じく6月には全日空が、ランザテック(本社・米国イリノイ州シカゴ)が生産するバイオジェット燃料の2021年からの購入を決定したことを発表している。ランザテックは製鉄所や製油所などからの排ガスを利用し、エタノールを生産。同社のバイオジェット燃料はそのエタノールを原料としている。
8月、第二世代バイオ燃料の開発・生産を手がけるジーヴォ(本社・米国コロラド州)は、国際石油資本のトタル(本社・仏パリ近郊ラ・デファンス地区)の航空機燃料部門、エア・トタルとの間に、SAFの売買・供給契約を結んだ。ジーヴォのSAFは穀類を原料としたイソブタノールから製造されている。
エア・トタルには、当初は米国テキサス州のプラントより、数年後からは生産拡大のためミネソタ州に建設を予定している新プラントよりSAFを供給する。エア・トタルは、フランス国内だけでなく、欧州全体にこのSAFを流通させる。