ナイキやギャップなど「北極海航路は使わない」宣言

ナイキはこのほど、北極海をわたる海運の増加が北極海に大きな影響を与える可能を懸念し、北極海航路を使用しないことを宣言した。同社は米環境NGO「オーシャン コンサーバンシー」と共に「アークティック シッピング コーポレイト プレッジ」(北極海航路企業宣言)を策定し、企業や業界の署名を促している。すでにギャップインクやコロンビア、H&Mグループなどが署名している。(オルタナ編集部=中山涼太)

ナイキとオーシャン コンサーバンシーが北極海航路企業宣言を策定

気象変動が北極海の氷を溶かし、これまで航行できなかった海路を使った貨物船航行の可能性が高まっている。これらの海路を使うことで航行時間の短縮も見込める。しかし、北極海をわたる海運の増加が世界でも最も脆弱な環境に大きな影響を与える可能性が懸念されている。

「世界の冷蔵庫」とも称される北極海は、世界の気温の調節に重要な役割を果たす。同時に地球の他の地域と比べて2倍の速さで気温が上昇している気象変動に最も敏感な地域だ。

そこで、ナイキとオーシャン コンサーバンシーは、北極海航路企業宣言を策定した。脆弱な北極海の生態系を通過する航路を選ばないことを約束するもので、各企業の参加を促している。

すでにベストセラー、コロンビア、ギャップインク、H&Mグループ、カーリング、利豊、PVHをはじめ、海運業のCMA CGM、長栄海運、ハパックロイド、MSCなどが署名した。

ナイキは、「気象変動はアスリートの練習や試合に限らず、スポーツを楽しめるかどうかにさえ影響を与えかねない。今回の宣言で、私たちは地球を守る、北極海を保護するために役立ちたいという明確な選択を行った」とコメントしている。

オーシャン コンサーバンシーは、「北極海横断航路の危険性は、その航路の利用から見込まれる利益よりも大きなものがあり、私たちは海上輸送による温室効果ガスの影響を無視することはできない」と話す。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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