台湾の蔡総統、SNSで自らWHOへ抗議

新型コロナウイルスの封じ込めに、行政と国民が一体となった的確で素早い対応が功をなし、世界的な評価を高めている台湾。9日、外交部(外務省)の発表に続いて、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統自ら、自身のS N Sを通じて、前日の世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長による、公式会見における台湾への中傷に対する強い抗議をすると同時に、「視察を喜んで受け入れる」と発言。柔軟な姿勢を見せるとともに、世界にアピールするキャンペーンを展開し始めた。

米国のトランプ大統領並みに、自身のSNSを意思発信の場として利用している蔡総統。先日は、新型コロナウイルスの感染によって亡くなった日本のコメディアン、志村けんさんへの追悼の意を即座に発信したほどだ。そんな蔡総統は、8日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「台湾から人種差別を受けた」と発言したことに対して、自らのFacebookを通じて、「強く抗議する」と発言した。

同時に、英語で発信されたメッセージには、ハッシュタグ「#TaiwanCanHelp(台湾は喜んで手助けします)」が付けられ、国際組織(W H O)に属さないながらも、国際社会の一員として、新型コロナウイルスに対して厳しい対策をとってきたことを改めて表明した。さらに世界的に不足している「マスク」需要に対して、迅速な生産力を確保し、世界中へ「寄付」し始めたこともアピールした。

「長年に渡り、台湾は国際的組織から爪弾きにされてきました。我々は、誰よりも、差別されることや、孤立することに対して、どう感じるか知っています」と語り、テドロス事務局長を台湾への視察に受け入れたいと考えているとと表明することで、この問題をきっかけに前向きな関係を築きたい意思を示した。

世界的にウイルスの蔓延が猛威を奮っている今、新型コロナウイルス対策に対して、W H Oという国際組織のリーダーシップに疑問の声が上がっているのは周知の事実だ。そんな中、組織に属さない台湾が、先手先手で対応した結果、他の国に類を見ない形で、ウイルスの蔓延を管理できていることは、日本をはじめ学ぶ点は大いにある。

中国との政治的緊張から、外国へ積極的に移民を送り出している国際的な台湾。新型コロナウイルス状況下で、台湾の政治的な存在感は今後増していきそうだ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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