伝説の怪物「両面宿儺(りょうめんすくな)」
こうした飛騨の匠に関する資料は、地元高山の図書館を探してもそれほど多くは残っていません。飛騨地方は中央政府からすれば当時はある意味未開の地であり、今で言うと開発途上国でした。その位置づけがよくわかるエピソードがあります。
日本書紀に「両面宿儺(りょうめんすくな)」という飛騨の悪人の一説がありますが、これは飛騨地方に顔が2つある略奪者がいたという勧善懲悪ストーリーです。
しかし、実は地元民からはこの両面宿儺は都による匠たちの強制連行を阻止しようとした英雄として称えられていたというのです。歴史は勝者が創ります。米大陸を発見したコロンブスから見たインディアン、これが飛騨の民であり両面宿儺でした。
その両面宿儺がいつしかかぼちゃになったわけではありませんが、今では「宿儺かぼちゃ」という名前に名残をとどめています。ストーリーの中に真実があるのか、都合よく塗り替えられているのか、ステークホルダーの声に耳を傾けることで、定義づけが変わってくる歴史的な事例かもしれません。
その複雑な歴史の味わいは、宿儺かぼちゃを食べるとわかるかもしれません。ぜひともご賞味ください。
次回は、高山らしさが開花し、現在の高山の礎が築かれた江戸時代をお伝えしたいと思います。
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