「志」を求める若者たち(6)かものはしプロジェクトを支える!

「カンボジアの児童買春を無くす」というミッションで活動しているNPO法人「かものはしプロジェク ト」を、イベント運営などを通じて後方支援している若者たちがいる。「ゆるやかな国際協力初心者団体」と名乗る彼らの活動とは。(聞き手・今一生)

ゆるかも

  • 白神裕人(21歳)。東京大学 教養学部 理科Ⅱ類2年。「ゆるかも」代表。
  • 高松真実子(20歳)。横浜国立大学 経営学部 国際経営学科2年。かものはしプロジェクトのインターンから参加。
  • 光安麻里恵(19歳)。東京大学 教養学部 理科Ⅱ類1年。
  • 田中翔(19歳)。東京大学 教養学部 文科Ⅰ類1年。
  • 越 Edward 泰三郎(21歳)。ニート。父からの誘いで半年前から「ゆるかも」に参加。

本誌オルタナ12号P44からの続き

――どのような経緯で「かものはし」とかかわるようになったのですか。

白神  僕はもともとアジアの旅行記を読むのが好きでした。そこで、「かものはしプロジェクト」について知ったのですが、僕自身、 国際協力の知識はあまりないので、世界中のいろんな問題に手を出すよりは、一つのところに一点集中して、自分が決めた問題を解決したいと思っていました。 カンボジアで児童買春の撤廃のための活動をするかものはしを見て、僕もそういう姿勢で活動してみたいと思ったのです。その中で自分自身も成長していきたい です。
08年3月にスタディ・ツアーに行き、みんなで話し合い、今の「ゆるかも」のための理念作りをしたり、どんな活動をしていくか決めたりしました。田中と光 安には、東京大学で4月の新歓で出会いました。「新歓のための映画会でカンボジアについての映画を見るのでまず見に来てください」って。

田中  高校時代までは、ボランティアや国際協力などあまりしたことがなかったのですが、そういった活動や東南アジア地域に興味はありました。大学に入っ たら、そういった活動をしたいと思っていたときに新歓で「かものはし」を見つけたのです。
ボランティア団体に自分の意見として募金をするような、一方的に自分から向こうへの矢印があるような、自分を犠牲にして何かをするという形に疑問を持って いたのです。
かものはしは、貧困問題や児童買春問題を解決するためにビジネスとしてIT事業というものにも取り組んでいて、そういう形が普通のボランティアとは違って 面白いなと思いました。もっとかものはしの話を聞きたいと思うようになり、そこから積極的に自分からよくかかわるようになりました。とても勉強になりま す。

――ゆるかもの課題は何ですか。

高松  現段階では、月に一回何かをするというシステム作りがうまくなってきたと思います。メンバーがそれぞれ、自分はどういうところで活躍できる のか、何をしたいのか、というのも出てきたので、これから勉強や遊びを取り入れたイベントを深く広くやっていきたいなと思っています。

田中 新しく入ってきた人で、ときどき離れていってしまう人もいます。ゆるかもの活動が不明瞭なところに問題があるのかもしれません。国際協力はしている けれど、外部団体と比べると「カンボジアの子どもたちを支援しています」とはいっても、間接的なのです。
サンド会からは多少収益が得られます。だから、例えばカンボジアに井戸を作るとか、そういう具体的な目標を決め、目標までの経過をブログに更新したり、資 金を集めたりみんなを巻き込んでいきたい、と考えています。

白神 何のために自分の時間や労力を犠牲にしてお金貯めているのかと疑問を持って離れていった子たちも何人かいます。何のためにお金を貯めるのかと いう目標があった方がいい。僕らは学園祭などでドリンクを売ったりしてお金を貯めてきたのですが、使い道が決まっていませんでした。でも、僕たちの活動に は、明確に「カンボジアの子どもたちのために使いたい」という大前提があります。

田中 以前は、ミーティングには制限時間がありませんでした。最初の4―6月は、話し合いばかりで、「みんなで一緒に飲もう!」というのもなかった し、ただ辛いだけの時間で(笑)。イベントは、達成感があるのですが。

白神 さすがに毎回終電までとなるときつすぎるという話になりました。ミーティングのやり方自体を昨秋くらいから変え、今では長くても2,3時間で 終えるようにしています。
でも、団体自体ができたてのころは、時間はかかるけど、みんなで一つのこと深く考える機会があり、それはそれで良かったと思っています。でも、さすがにき つすぎた(笑)。

――人身売買の映画「闇の子どもたち」も見に行ったそうですね。

白神  みんなで見に行きました。毎回のサンド会の準備でもいっぱいいっぱいだったのですが、1年経過し、分業体制やミーティングの運営もうまく なってきて、余裕もでてきました。
そこで、ゆるかものメンバーが勉強できることをしたいなって。もともとみんな知識があるわけではなく、かものはしにかかわるようになっただけで、勉強不足 な感があるのは否めません。カンボジアをメインにしていますが、自分で勉強する場合にはほかの国や問題にも目を向けた方がいい気がしますし。
あとは、新しい人が来たり、問い合わせが来たりした時に、コアメンバーになってもらえるような流れがうまくできていません。そこはちょっと考えたいなと 思っています。ゆるかもが自分の居場所だと思ってもらえるようになるといいですね。
09年2月のサンド会では、かものはしがやっている「い草商品」の展覧会をしようと思っています。三軒茶屋にあるハンディキャップのある方がつくった藍染 製品を売っているお店のスペースを借りて1週間ほど展示する予定です。かものはしのサポーターの方からお話を頂いて進めていたのですが、実は、その会場が 2月に工事するかもしれないという状況で困っているのです。
こうした活動を見ても、今ではだいぶみんなも慣れてきて、1年生も成長してくれたし、一人一人担当を持って、各自がある程度まとめてきて、ミーティングで はみんなで共有し、決定するだけ、という形に移れるようになってきました。それは、いい兆候だと思います。

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