サプライチェーンにおける強制労働に関する情報を企業や投資家に発信しているKnowTheChainが、日本企業10社を含む大手エレクトロニクス企業49社の強制労働への対応状況を評価した情報通信技術(ICT)部門ベンチマークの最新結果を発表しました。KnowTheChainは、国際NGOやESG調査・評価会社などのパートナーシップにより活動しており、国連ビジネスと人権に関する指導原則に基づき、企業のサプライチェーンにおける強制労働への対応状況を評価しています。(2020年KnowTheChain ICT部門ベンチマーク日本国内窓口・土井陽子)
■KnowTheChainベンチマークとICT部門における強制労働
2016年、2018年に続き、3回目となるICT部門ベンチマークは、欧州8社、北米23社、アジア18社、計49社の電機・電子産業を主とするグローバル企業を評価しています。
世界的に批判されているにもかかわらず、企業はサプライチェーンにおける強制労働にいまだ対応しきれず、わたしたちが使うパソコンやスマートフォンをつくる労働者を搾取されやすい環境に相変わらず置き去りにしていることが明らかになりました。
新型コロナウイルスの蔓延が状況を悪化させており、工場の生産停止や感染リスクの高い労働者の宿泊設備、政府の保護対象から外れる移住労働者といった問題が発生しています。新型コロナウイルスがサプライチェーンに与えた影響によって高まっている労働者の人権リスクに対して、ほとんどの企業は対応が不十分であることが分かりました。
■全体の評価結果
ICT部門49社の平均スコアは、100点中30点であり、38社(76%)が50点に満たないという結果となりました。投資家が企業のESG分野の対応への期待を強め、欧州を中心に政府が人権デュー・ディリジェンスに関する新たな規制を検討する中、労働者の権利に関する企業の方針と実践に大きなかい離があることが見えてきました。