石灰は、土壌の酸性化を中和する肥料として、農業では従来から使われてきたが、研究者たちは、ERWが大気中のCO2回収だけでなく、土壌改良を進め、農産物の生産力向上にも役立つことができ、将来的に食糧危機にも対応できる技術だとして、農家に対して奨励金を付与するなど、国の政策として進めていくことが重要としている。
パリ協定は、「産業革命以前と比べて気温上昇を2度未満に抑えること」「今世紀後半に温室効果ガス排出を実質ゼロにすること」を目標として定めた。目標達成には、今後の温室効果ガス排出量を規制するだけではなく、既に大気中に存在している温室効果ガスを回収する技術の開発も必要であり、ERWの今後の実用化に期待がかかる。
論文の主著者である同大学のデビット・ビアリング教授は「CO2の排出抑制とともに、現状の農地利用と共存したCO2の回収技術の確立が必要。農地に岩石粉をまくこの技術は農家にとって大変取り組みやすく、政策として促進していくべき」と話している。
英シェフィールド大学は生物医学やシステムエンジニアリングなどの分野で世界的に高い評価を受けている。THE(タイムズ紙の大学評価ランキング)の2020年版では117位だった。東京工業大学や東北大学の「251-300位」グループと比べても高い位置にいる。