なぜ家具チェーンのイケアが代替肉を導入するのか

環境への取り組みを語ったカントリーフードマネージャー佐川季由さん

同社の製品の原料の多くはスウェーデン産であり、製造もスウェーデン国内で行われている。つまり欧州から日本への輸送に掛かるエネルギー負荷(カーボンフットプリント)が高い。

同社は日本での調達・製造が理想としているが、現状では全てを日本国内で調達することは難しい。しかし、植物由来の商品を販売することは、物流の観点で気候変動に取り組む場合にもメリットがあるという。

肉と野菜では野菜の方が重量は軽くなるので、輸送する際のカーボンフットプリントも少なくなるという。さらに、牛や豚を食肉に加工すると頭など廃棄する部分が出てしまう。そこで野菜を原料に使えば、可食部が多いので廃棄量の重さを減らせるのだ。

「イケアの商品を食べることで地球環境に貢献していると実感できれば、環境問題にも取り組む切り口になる」と佐川さんは付け加える。プラントボールを食べることは、同社のミートボールを食べるより96%のカーボンフットプリントを削減することになるという。

日本国内でも、代替肉に取り組む動きが出てきた。丸大食品などの食品メーカー、ドトールコーヒーなどの飲食チェーン、DAIZなどのスタートアップ企業が代替肉事業に参画してきた。

代替肉は、特に若い人の間での支持率が高い。マクドナルドも昨年、カナダで代替肉の販売実験に取り組んだ。スーパーでは豆腐ハンバーグが珍しい商品ではなくなってきた。

「肉食」には環境負荷と、健康やライフスタイルの問題の両面があるが、その両方とも代替肉が答えになりうる要素を含んでいる。代替肉市場は今後、増えることはあっても減ることは無いとみられる。

※ フレキシタリアン(Flexitarian):「柔軟な」という意味の形容詞(flexible)と「~派、~主義」を意味する語尾(–alian)で作られた言葉。動物愛護や環境問題への関心、健康志向などの理由から、肉をはじめとする動物製品を摂取しない日や食事の時間を意識的につくる人の総称。肉を摂取するのは週に一度、肉は食べないが乳製品は食べるなど、個人によって頻度や食物の制限は異なる。

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