英ウィリアム王子の環境賞、山崎直子氏が評議委員に

英王室のウィリアム王子が2019年に創設した「アースショット賞」の評議会メンバーに、元宇宙飛行士の山崎直子氏が参画する。アースショット賞は、地球環境の回復を目的とし、優れた解決策に対して今後10年間で総額5000万ポンド(約68億円)の賞金を授与するもの。10月初旬、中国アリババのジャック・マー創業者や女優のケイト・ブランシェット氏、山崎直子氏など著名人12名の評議会メンバー(審査も担当)を発表した。(寺町幸枝)

同財団によれば、ケンブリッジ公ウィリアム王子は、長年自然保護を提唱しており、このアースショット賞を設立するための2年の月日を費やしという。自身とケンブリッジ公爵夫妻による「王立財団(ザ・ロイヤル・ファウンデーション)」を通じて準備を進めてきたアースショット賞は、ターニングポイントとして掲げられる2030年までの残り10年で、画期的なソリューションやアイデアを世界から集め、それに資金を投入することで、地球保護と回復を目指す。

「アースショット」という言葉は、1960年代に米国のジョン・F・ケネディ大統領が「ムーンショット」という演説で、人類を月に送るという目標の下、数百万人を団結させ、テクノロジー開発に大きな影響を及ぼしたという話しにインスピレーションを得たという。5つの分野(自然の保護と回復、空気の浄化、海の再生、ゴミの削減、気候変動の修復)における独自の課題を提示し、新しい技術や考え方、方針などを用いた解決策を生み出すことが目的だ。

選ばれた12名の評議会メンバーは、それぞれが地球環境や地域の社会問題に対して意欲的な取り組みをしてきた人物であると当時に、各分野で卓越した影響力を持っている。それぞれの出身地も異なるメンバーが集まって作られた評議会は、世界規模で注目を集め、そして情報や影響力を拡散することが必要なこのプロジェクトにとって、非常に重要な存在となるだろう。

唯一の日本人として着任した、元宇宙飛行士で、現在は一般社団法人スペースポートジャパンの代表理事を務めている山崎直子氏は、公開されたアースショット賞の公式Youtube動画の中で「人間は、半世紀も前に宇宙へ到達することができたが、地球だけが未だ私たちにとって<唯一の>住処だ」とコメントしており、地球の環境保全と回復の重要性を改めて説いている。

評議会メンバーの公表日には、自身のツイッターに英語で「アースショット賞の評議委員のメンバーの一人であることが誇らしい」とツイートしている山崎氏。ウィリアム王子を含む他の12名のメンバーとともに、今後世界に大きなインパクトを与えるイニシアティブを担うことになるだろう。

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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