花王とライオンは11月4日、洗剤やシャンプーなどの使用済み詰め替えパックの店頭回収を行うことを発表した。イトーヨーカドー曳舟店(東京・墨田)の店頭で回収した詰め替えパックをペレット化し、ブロックなどに再生する予定だ。将来的にはフィルムからフィルムへの再生を目指す。花王とライオンは日用雑貨メーカー大手の競合同士だが、その制約を乗り越えて、持続可能な社会の実現に向けて協働する。(オルタナ副編集長=吉田広子、松田ゆきの)
「石鹸洗剤業界における容器包装プラスチック使用量の推移」(日本石鹸洗剤工業会)によると、2018年の詰め替え・付け替え用製品は、全製品出荷量の80%に上る。一方で詰め替え容器に使われるフィルム素材は複合材料からなるため、リサイクル材が不均質なプラスチックとなり、リサイクルが困難な状況だったという。
花王とライオンは9月、プラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、フィルム容器のリサイクルに協働して取り組むことを発表した。
花王広報部の西田耕士氏は「企業一社では、回収やリサイクル技術の開発に限界がある。そこで同じ目的を持つ他社との協働が必要だと考えた」と経緯を説明する。
同様にライオン広報部の大古麻利氏も「歯ブラシのリサイクルを進めているなかで、当社の課題を認識していた。一社単独ではなく、協働することで困難な課題の解決を目指していきたい」と話す。
両社は2025年までに年間1万トンの容器を回収することを目指す。これは、フィルム容器販売量の2割にあたる。
イトーヨーカドー曳舟店の実証実験では、店頭に専用回収ボックスを設置し、洗剤やシャンプーなどの使用済み詰め替えパックを回収する。今後は自治体や企業、店舗にも呼び掛け、拡大していく予定だ。