自由を買う「フライカウフ」とは

【連載】つなぐ金融 

ドイツの社会的金融機関GLSグループ(銀行のほかに寄付を扱う信託財団なども存在) を調べるなかで気になっている言葉がある。「フライカウフ」(freikauf)だ。(林 公則=明治学院大学国際学部国際学科准教授)

「freikaufen」(動詞)の訳を辞書で調べると、「~の自由を買い戻す、金を払って~を自由の身にする(釈放される)、身請けする」であることが分かる。ドイツでこの言葉が使われるのは、管見の限り、以下の3つのシチュエーションにおいてである。

1つ目は、奴隷解放のための一つの手段として使われた。すなわち、奴隷制に反対する者が、奴隷を買って、その後その奴隷に自由を贈ることをフライカウフと呼んだ。2つ目は、東ドイツからの政治亡命希望者の身柄を金銭と引き換えで引き受ける際に、この言葉が使われたという歴史がある。

3つ目がGLSグループによるもので、1970年代から使用されるようになった。GLS銀行の機関紙であるバンクシュピーゲル32号(1983年)には、土地は機械のような命のない生産手段ではないので、売買の対象とされるべきではないと記されている。

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kiminorihayashi

林 公則(明治学院大学国際学部国際学科准教授)

明治学院大学国際学部国際学科准教授。2007年10月、一橋大学大学院博士課程(経済学研究科応用経済専攻)修了。専門は環境経済学と環境政策論。著書に『新・贈与論─お金との付き合い方で社会が変わる』(コモンズ)など。

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