【連載】アニマルウェルフェアのリスクとチャンス(1)

新型コロナウイルスの第三波と言われる中、政府からはオリンピック・パラリンピック開催への意気込みが聞こえてくる。2021年に延期となり、コロナ禍を経て、世界はより持続可能な消費への移行を求めている。新型コロナウイルスが人獣共通感染症であったことから、集約的畜産にはより厳しい目が向けられるようにもなった。そんな中にあって、東京大会の畜産物の調達基準は、いよいよ時代遅れなものに見えてくる。(認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事=岡田 千尋)

ケージの中に詰め込まれて飼育される鶏

ケージフリーという最低条件

選手村や会場で使用される卵や肉や乳製品に関しては、調達基準が設けられている。しかしこの中のアニマルウェルフェアの基準は世界的に見ると非常に低いものだ。

2018年8月、ロンドンオリンピック銀メタリストであるドッチィ・バウシュ選手をはじめとしたオリンピアン10人が、卵をケージフリー(平飼い・放牧)にすることと、豚肉を妊娠ストールフリー(拘束飼育しない)にすることを求め、意見書を都知事宛に提出した。

このことを2020年11月11日、衆議院農林水産委員会で串田誠一議員がとりあげ「今のような状況であるとするならば(日本の畜産業は)大打撃を受けるのではないかなと私はそういう風に思う」「大臣、このままで畜産農業大丈夫でしょうか」と迫った。

ケージフリーを訴えるドッチィ・バウシュ選手

ロンドン大会、リオ大会はケージフリーであり、次のパリ大会もその次もケージフリーの卵が調達されるだろう。間に挟まった東京大会だけがバタリーケージで鶏を苦しめた卵を使ったということは、オリンピックが開かれるたびに参照される情報になる。

1年の遅れがさらに致命的に

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